プロローグ
連載版です。
細かいところは違っています。
大まかな流れは変えませんが書き足すというよりも、話はほぼ書き直しています。
『華咲く世界で勇者と恋』
いわゆる華勇と呼ばれるこの乙女ゲームは魔法は存在せず、地球によく似た世界が舞台である。
このゲームは、勇者が魔王を倒し平和になった300年後からストーリーが始まる。
山籠もりなどの厳しい修行をこなした勇者は魔王を世界に平和をもたらす。
その後はある家の当主となって繁栄させた。
その家が高神家である。
300年経ち、日本によく似た国に存在する、裕福な家の子供達が集まる名門華咲学園がこの物語の舞台だ。
この学園の中心はエリートが集まる美形軍団な生徒会と風紀委員会である。
彼らの権力は教師をしのぐと言われ学園は彼らが治めているといえるだろう。
この世界では御三家と呼ばれる三つの家がトップに立ち、その下に五家・十家とつづく。
彼らには王家と貴族のような身分関係があり、それは学園の中でも変わらなかった。
そのため、御三家で唯一の在学生の高神 正明がトップの身分として生徒会長となり、学園をまとめていた。
そしてそんな高神家の一人息子高神正明がメインヒーローであり、この乙女ゲームの主要攻略対象である。
ヒロインは一般人だが母親の再婚により五家の一員となる。
彼女が、名門華咲学園に転入してきたことでゲームはスタートする。
ヒロインは彼女1人で、正明のほかには4人の攻略対象者がおり、ライバルは5人存在する。
生徒会長の正明の婚約者は五家筆頭の加賀美家の令嬢 響子である。
彼女は学園中の憧れの存在であり、才色兼備な女性だ。
副会長には1つ上の従姉妹の女性、会計には同い年の幼馴染の女性、書記には1つ
年下の女の子、補佐には3つ下の義理の妹の存在がある。
彼女たちがライバルキャラなのだが、響子以外の女性たちは他校に通っていたり、留学中などで攻略対象者がほのかに思いを寄せていた存在としてしか語られない。
その為に、ヒロインの恋の邪魔をするのは身分関係に厳しく、高神家の婚約者ということを誇りにしていて学園生からは女王様、正明とは理想の恋人扱いをされている加賀美響子一人という設定になっていた。
攻略をやりやすいようにという制作側の意図だが、そのために響子はとんでもなくハイスペックな存在になっていた。
そんな彼女が仕掛ける邪魔は恐ろしいものだったが、ヒロインには助言役として風紀副委員長がつくため、彼のアドバイスによりヒロインはラスボス響子に立ち向かっていくこととなる。
また、ヒロインにバッドエンドはなく、ノーマルはみんな友達エンド。
ハッピーエンドは1人を選んで恋人として幸せにエンドである。
そして、特殊エンドに私こそ勇者エンドがある。
これは正明を恋人にした場合にしか選べない特殊ルートへ行く道の鍵である。
ライバルキャラの正明の婚約者が婚約破棄により学園の女王の地位から失脚し、嫉妬と憎悪により魔王となり世界を滅ぼそうとする。
それを勇者となったヒロインが倒すことにより、新たな攻略対象者として風紀のメンバーがプラスされ、逆ハールートが解禁される。
多くのファンはこれ目当てにゲームを行っていた。
なぜなら、最初の攻略対象者の生徒会メンバーは残念すぎるイケメンたちだからだ。そして、風紀は逆で乙女の理想と妄想をつきつめたような存在だった。
当初はメインたちの残念ぶりを酷評されたが、特殊エンド以降の風紀攻略が話題になり人気ゲームとなった。
1番人気はヒロインのサポート役だった風紀副委員長佐々木 良樹だった。
彼の派手さはないが誠実で優しく穏やかに委員長を補佐する姿、武道にもすぐれ凛々しくヒロインを守り導く姿が攻略解禁以前から人気だったからというのもあるが、ヒロインへの甘々溺愛エンドの時にしか見ることが出来ない、10年後のよりイケメンになった良樹が抱かれたい男№1俳優による大人の色気たっぷりな声で優しくヒロインに愛をささやくスチルに、純真なお嬢様や現実の男に幻滅し始めたお姉様方の心がわしづかみされたからだ。
そして物語は現実世界を厭い、華勇の世界にひたり、佐々木良樹を狂愛する少女が前世の記憶を持ったまま転生を果たしたことから始まる。
そう…『華咲く世界で勇者と恋』という乙女ゲームに限りなく似た世界に。