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ベイルワールズ  作者: スノウ
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プロローグ

          

 ああ、本当に条件が満たされた……。


 感情を持ってから三〇〇年程経過した……あの時までは、何も思わず、何も考えず、ただ彼女を、あの子等を見守るだけだった。しかし、感情を手に入れてからの日々は最悪だった。あの子等が動けば何かしらの感情が湧き上がり、怒ったり、笑ったり、悲しくなったり、ワクワクしたり、ドキドキしたり……そして何より寂しかった。感情なんて群れがあって始めて必要になるものだと理解した。孤独な自分にそんなものは邪魔でしかなかった。

 二〇〇年程前、自分は見守るのを止めようと思った。そんな事をすれば彼女もあの子等もこの先どうなってしまうか判らないが、もう充分だ。自分だって参加したい。そもそもこんなところで一人で居続ける意味すら分からない。自分だって人々と沢山会話をし、喧嘩をしたり笑い合ったりしたい。


 すぐに世界に入り込む事は出来なかった。別の感情に邪魔をされたのだ。一度世界に入ってしまえば自分はもうこの場所には戻ってこれない、したいからと言ってそれをすぐに実行するのは本当に正しいのか? と自問自答して躊躇してしまったのだ。

 どうしていいか判らない自分は条件を作り、世界にそれを委ねた。それは全ての国が同世代でバラバラになる事だ。今までそんな状況になった事は一度も無い。だからと言ってこの先そうなる事だってある筈だ。現に自分に感情が宿ったのは、今までに無かった事が起こったのが原因だったからだ。


 そして今、世界はバラバラになった。待ちに待った瞬間だが、いざ世界に入ろうとすると期待とは別にやっぱり不安が襲ってきた。自分を一歩前に進ませるために、これは彼女とあの子等の意思でもあると言い聞かせた。そして半身を人型に具現化した自分は人間の真似をして「頑張るぞっ!」と初めて言葉を口にし、顔を何度も叩き、世界の一部になった。

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