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7.

 それから一週間、ネーヴェが滞在します。


 シーエルは、どうしても雪のお礼がしたくなりました。


 何がいいかな。


 シーエルはあまり考えませんでした。


 ネーヴェは雪の景色をくれました。


 雪はふわふわしていました。おもったよりもずっと冷たかったです。かまくらはできませんでしたが、雪だるまを作りました。


 ネーヴェにあってシーエルにないものを、彼はくれました。

シーエルは、自分にあってネーヴェにないものをプレゼントしようと決めました。


 シーエルは新しいキャンバスを買って、絵の具を揃えます。青と白と茶と…。


 プレゼントは絵です。泣きたくなるような快晴の空を見上げるネーヴェの後ろ姿。シ-エルは絵画の時間の成績が抜群に良かったので、それは美しい絵になりました。


 でも、空の色が足りません。濃い色も薄い色も、何度塗り直してもいつも見ているあの空の色ではありません。


 一週間の期限のなかで、じょじょに時間がなくなっていることにシーエルは焦りながら考え続けました。


 ふと、思いつきます。ラピスラズリの色が、この空の色にぴったりだわ。


 ラピスラズリの首飾りは嫁入り道具でしたが、迷いはしませんでした。シーエルは自分の首飾りをくだいて、油と薬をまぜて染料にしました。それを薄くのばすと、空はシーエルのよく知っている空の色になりました。


 余談ですが、ラピスラズリの飾りをくだいて使ってしまったことがお母さんにバレてしまいました。


おかあさんは「もうこの子はお嫁に行けないわ。どうしましょ」と本気で泣き喚いていたので、全く信じていなかったシーエルも怖くなってしまったそうです。




 シーエルは、絵が見られて感想を言われるのが恥ずかしかったので、布で巻いてプレゼントしました。


「絵を描いたから、帰ったら見てね」


 そう、何度も念をおしました。


 また直ぐに、会えると思っていました。その時ゆっくり話をしようと思っていました。


 しかし、一週間しないで届いたのはネーヴェが雪崩に巻き込まれたかもしれないという知らせでした。


 春の陽気で雪が一気に溶けて雪崩になってしまったそうなのです。


 この季節に来たのは自分のせいだとシーエルは自分を責めました。





 シーエルは、ネーヴェはどうなったのでしょう。それはもう誰もしりません。






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