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高校生陰陽師、参上

高校生で陰陽師

今までにない、

独創的な物語が書けていると思います。

―1月17日―


俺の名前は、薬袋瀬奈(みない・せな)

とある理由で東京から

山形までやってきた。

…とは言っても、ここが山形の中のどこら辺なのか、さっぱりわからない。

駅は廃れていて、電車もあまり通らないみたいだ。

実を言えばここには人に頼まれて来たんだ。

頼んできたのは、母方の親戚で九条秋沙(くじょう・あいさ)年は…よくわからないけど、二十代じゃないかな。


…そうそう、今は平然としてたけど、ここは凄く寒い。

「うぁー。寒い」

声にでてしまった。

「秋沙さん、まだかな。あまり待つのは好きじゃないんだけど…」


もういいや。勿体ぶらずに、此処に来た理由を話しちゃおう。

俺は、実は妖怪退治をしているんだ。どうしてそうなったのか、経緯を説明しよう。

あれは、俺がまだ中学生だった頃。俺の両親が交通事故で死んだときの話だ。

遺品を整理していた俺は、小屋の中で古びた首輪と日本刀を見つけた。

その二つは、相当な年代物の筈なのに、サビや埃ひとつ無かった。試しに首輪を掛けてみると、まるで、自分のオーダーメイドのように、フィットしたのだ。

日本刀の方は、五月人形のような物の付属品のような重さではなく、敢えて言葉にするなら、鳥の羽のように軽かった。


葬式に集まった親戚は、俺の格好をみると、口々に「似ている…」と呟いた。誰に似ているのか聞いてみたが、「知らなくていい」と、教えてもらえなかった。

しかし、秋沙さんだけは教えてくれたんだ。



――薬袋家初代・陰陽師薬袋亞鬼魔裂(みない・あきまさ)


俺は彼の生前の姿に似ているらしい。

ちなみに、彼は相当な腕を持っているほか、剣術も心得ていたから、独自の陰陽道を進んだのだそうだ。


俺はこの出来事以来、親戚達の依頼を受けて、全国を回る陰陽師として働くことになった。


二つ三つ依頼をこなしているうちに、随分とこの生活に慣れてきた。依頼を受ける度に転校を繰り返したが、恋人なんてのは出来たことが無かったので、ぜんぜん困らなかったのが本音だ。


まぁ、折角できた知り合いと別れるのは、些か悲しいものがあったけど、俺には指名があったから、気にしちゃいけないんだと、そう思い込ませた。


「それにしても、秋沙さんは遅すぎる」

すると、ようやく秋沙さんは現れた。

「ごめん。待った?」

「いやいや、今着いたばかりです。」

俺はなんて間抜けなんだ。

「なら、良かった。ちょっと手が放せなくて、ホントごめん」

「いえ、それより俺は何処で暮らすんですか?」俺がこう言ったのには、理由がある。

暫く依頼が来なくなり、親戚一同の会議で、そろそろ永住する場所を決めても、良いのではないかという意見が出たのだ。その場で、秋沙さんは山形で妖怪退治した後、山形で暮らせばいい。と全員に向けて言ったのだ。漫然一致で、その案は可決された。だから、俺はこれから山形で暮らすのだ。


「その話なら、大丈夫よ。知り合いの民宿って言っても小さなものだけど…そこで、暫く置いてくれるって」

「…?しばらく?」

「ええ、私の家でも良かったのだけれど…ウチに任せてくれって言われて…まぁ仕方なく…かな」

「そ、そうですか。で?その民宿は何処ですか?」

「せっかちね。すぐそこよ?ほら、看板見えるでしょ?」

「菊松壮…?」

「そうよ。みんないい人だから、安心しなさい」

俺達は、この地域についての話や、妖怪についての話をしながら、雪の積もる坂を下っていった。


「女将さん?いる〜?」

「あらあら、秋沙ちゃんじゃない。早かったわね。隣にいるのが、噂の美少年・瀬奈君だね?」

び、美少年!?本人は心の中で吹き出してます。

「薬袋瀬奈です。お世話になります。」

「いい子ね。私のことは、お母さんのように思ってくれていいからね」

「は、はぁ。よろしくお願いします」

ぎこちない雰囲気の中、秋沙さんが口火を切った。

「私は、これからまだ仕事が残っているので、ここらで失礼します。瀬奈?明日は学校に遅刻せずに来ること。わかった?それと、女将さんに迷惑かけないようにね?」「わかってるって。大丈夫。前と同じだよ。」

秋沙さんは、予め止めておいたのか、ト○タのパッソで走り去っていった。

「瀬奈君、忘れてたわ。私の名前は菊松聖子(きくまつ・せいこ)

女将さんが自己紹介してる時、奥の襖から女の子が顔を覗かせているのが見えた。

「ん?あぁ、あの子は、娘の(きょう)よ。年は、あなたの一つ下よ。仲良くして…欲しいんだけど、今はまだ…駄目かねぇ。」

「どうかしたんですか?」

「あの子、友達を亡くしたのよ。毎日のように遊んでいた子だったからねぇ」

「病気ですか?」

少し間が空いて、女将さんは重い口を開いた。

「《殺された》んだよ」

「…っ!それは…誰に?」

「それが、まだ見つかってなくてねぇ。あの子は妖怪の仕業だって、言ってるんだけど…」

妖怪…?興味深い話だな。一体、何があったんだろう?

「聞きたいことがあるなら、杏に聞いてみな?もっとも、今はすっかり塞いじゃってるんだけど…そうだ。あの子、毎日夜になると、犯人を捜してくるって出かけるのよ。もう、心配で心配で。」

「そうなんですか…」

「あら、いけない。お部屋に案内するわね。」

そう言うと、女将さんは重い腰を上げ、案内してくれた。

部屋はなんと9畳もあり、一人で使うには充分な広さだった。

窓の外の雪景色も、とても綺麗だった。

「じゃあ、夕飯ができたら、呼ぶわね。」

「あ、はい。わかりました。」

女将さんはそう言うと、階段を降りていった。

俺は荷物を置くと、布団の上に横になった。


何分経っただろう。

部屋のドアが開いて、誰かが入ってきた。

「寝てますか?」

可愛らしい女の子の声だった。

「いや、起きてるよ?君が、杏ちゃんだよね?」

「はい。アナタが瀬奈さんですよね。秋沙さんは凄腕の陰陽師だって、言ってましたけど…本当ですか?」

「凄腕かどうかは分からないけど、一応は陰陽師だよ。」

「渚を殺した犯人を見つけてください。」

渚というのは、死んでしまった友達のことだろうか。

「君は、犯人が妖怪だと思ってるんだよね?」

「それ以外、ありえません。」

この自信は、何故だろう。

「何で、そう思うんだい?」

「これをみてください。渚が死んだ日の翌日の新聞です。」

少女惨殺…はらわたを抜き取られ、辺り一面血まみれ

「なるほど。妖怪には、間違い無さそうだね。」

「信じてくれるんですか?」

「信じるもなにも、俺には否定する理由もないし、何しろ否定したら自分の存在も否定することになる。」

「じゃあ、犯人探しにも、つきあってもらえますか?」

「いいよ。俺もパートナーは欲しいと思ってたんだ。」

「やったぁ!!ありがとう!」

少女の声は最初とは比べ物にならないほど、明るくなった。

「じゃあ、夕飯食べに行きましょう?お母さんが呼んでるから」

「うん。今いくよ」

「犯人探しは、明日からしましょう?」

「だな。今日は、いろいろありすぎた。ちょっと頭の中を整理しないと」

俺達は、軽快に階段を降りていった。


食堂に着くと、もう料理が並んでいた。

「ようやくきたね。さぁ、歓迎会を始めよう。」

女将さんが言うと、後ろからクラッカーが俺を直撃した。

「はっはっは。よろしくな。瀬奈」

この人は、杏ちゃんのお父さんか。

「よろしくお願いします。」

「あら、久しぶりに杏が笑っているわね。何か、良いことがあったのかしら。」

「え?別に何もないよ、お母さん。」

あわてて何かを否定する杏ちゃん。

「瀬奈、こいつを貰っていってもいいぞ?」

なんてことを言うんだ、オッサン。

「ええええ?わ、私は別に…そんな」

「お兄ちゃんができると、喜んでいたのは何処の誰だ?」

なん…だと?これは、うれしい限りだ。

「私だけど…うぅ、もういい!御馳走様」

赤面させて、走っていってしまった。

「ま、仲良くしてやってくれ」

「は、はい。喜んで」

初めての日にしては、今までにない、楽しい一日だった。

明日が、楽しみだ。

どうでしょうか

もし良ければ、感想やレビューを書いていだだけると、嬉しいです。

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