第28話 学園襲撃事件の解決と結末~討伐局へ~
ルミナVS悪魔はルミナの勝利で。
リヒトVSヨルムンガンドダグラスの戦いはリヒトの勝利で終結した。
決着がついたまさにその時、ドタドタと足音が響き複数人の気配が近づいてくる。
「被害状況と負傷者の確認を急げ! 索敵班は襲撃者の仲間が他にもいないか捜査と警戒を続けろ!」
「「「「「ハッ!」」」」」
学園からの救難要請を受けて駆けつけてきた討伐局の討伐者たちだった。
彼らを指揮していたグレイがリヒトに駆け寄る。
「ここに来る途中に一部始終が見えたのだが、何があった? 詳細を教えてくれ」
リヒトは簡潔に説明する。
「魔族による学園襲撃事件が起きた。この怪物はS級のヨルムンガンド、覚醒薬を使用して魔族と共謀したダグラスだ」
「「「なっ!? S級だと!?」」」
討伐局の面々が驚愕する。
が、ヨルムンガンドが背負い投げされてから極太闇光線を放つ一部始終を目撃していた彼らはすぐに納得した。
「あの規模と威力だ……。S級なのは間違いない」
「それを君が倒したというわけか」
グレイの質問にリヒトは頷く。
「校舎の中に避難している人たちは無事だ。……ただ、ダグラスのスキルによってダグラスの取り巻きだった生徒の一人が死亡した」
「……S級の魔物に襲われてそれだけの被害で済んだのは、間違いなく君の……いや、君たちの実力があってこそだ。誇ることこそすれ気負う必要はない。よくやった」
そこへ討伐局メンバーの一人であろう犬獣人の女性が駆けつけてくる。
彼女はボロボロのルミナを抱えていた。
「この子すっごく弱ってる臭いする! 早く治療してあげないと!」
「Dr.カトゥー! 治療を頼む」
「はい!」
討伐局メンバーの中から白衣の男が現れる。
彼は討伐局の専属回復術師だ。
「実力は折り紙付きだから安心してくれ」
「僕は死んでなければだいたい治せますのでご安心を!」
カトゥーが回復魔法をかけると、ルミナの傷がみるみる治った。
さらに失った腕まで生えてくる。
わずか数秒で全治した。
「次は君の番ですよ」
リヒトも回復魔法をかけてもらう。
あっという間に外傷がなくなった。
それを尻目に、グレイは改めて惨状を確認する。
(この破壊痕、先ほどの暗黒魔法、死体になってもなおハッキリと伝わってくる威圧感……。このヨルムンガンドはS級の中でもかなり強い部類だ。私やフレアならソロ討伐できるが、上官組なら複数人で対処しないと勝てないだろう。
そんな相手をリヒトはソロ討伐した。ルミナもまた、纏う風格が以前見た時より強くなっている。間違いなくS級に到達した風格だ)
回復魔法では、肉体的な外傷は治せても精神的な疲労や消費した魔力は回復できない。
疲労困憊のリヒトとルミナに向かって、グレイは手短に話した。
「君たち二人の加入手続きが完了した。すぐにでも討伐局に来てほしい。学園のほうは特例で卒業扱いにしておく」
「感謝します、グレイ様」
「謹んで拝命いたします」
「後の対処はこちらでしておく。君たち二人はもう休みなさい」
こうしてリヒトとルミナは討伐局に加入することとなった。
カトゥーと犬獣人に抱えられて医務室に運ばれていく二人を見送りながら、グレイは大きな予感を感じ取っていた。
(あの二人の成長速度は規格外だ。何か……私たちの未来を百八十度変えるような何か大きな流れに私たちは巻き込まれたのだろうな)
◇◇◇◇
学園襲撃事件が起きている最中。
魔族領……魔王城にて。
「開戦の準備を進めよ。今回の戦争は私たちが勝つ。今度こそ人類を滅ぼし──私たちは幸せな未来を掴むのだ!」
「「「「「ハッ! 魔王様!」」」」」
魔王は戦争の準備を進める。
その様子を、魔王城内に忍ばせた小型の監視魔物の視界を通して見ていた彼女は──
「今のところ問題なし。戦争の計画は順調に進んでいる」
──呪福は、屍の山に築かれた玉座の上で邪悪に嗤った。
「この世界を悪意と不幸で埋め尽くす。最高の景色を見せてあげます、アンラ・マンユ様」
ここまで読んでくださりありがとうございます! これにて1章完結です。
次回からは2章魔族戦争編が始まります。
これまでとは比べ物にならない敵も出てくるのでお楽しみに! 1章よりもバトルの激しさが増します!
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