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ヌードル戦士☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
1章 鞍馬山の怪人
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奇妙な観光客

その後も烏天狗は繰り返し万休電鉄の駅に現れて営業妨害を繰り返した。その度ににゅうめんマンが出動したが、その姿を見るやいなや天狗は一目散に逃げて飛び去ってしまうので、いつまで経っても迷惑行為をやめさせることができなかった。


そのような状況がだらだらと続いていたある日、天狗は烏丸駅の隣の京都河原町駅に姿を現した。京都河原町駅は、万休電鉄の駅としては京都市内で2番目に乗降客数が多い、ターミナル駅だ。この日も営業妨害に精を出すべく、天狗は地上の入口から階段を下って地下の駅構内に潜り、自動改札を跳び越えて駅のホームに侵入した。


そこにはツアーガイドにひきいられた10人ばかりの観光客の団体がいて、次の電車が来るのを静かに待っていた。天狗が現れたことが分かるとホームは大騒ぎになり、ホームにいた人々は慌てて逃げたが、この観光客たちは落ち着いていて、騒ぎが起こるとなぜか天狗の方へ向かって歩いて来た。


「他のやつらとは様子が違うな」

 と感じつつも、害はなさそうなので放っておこうと天狗は思った。だが次の瞬間、さらにおかしな点に気が付いた。まず、野球ボールくらいの大きさのプラスチックのボールを、全員が手に持っていた。


そして、それはまあいいとしても、観光客の1人の服装が明らかにおかしい。具体的に言うと、この男は覆面ふくめんをかぶり、ついでにサングラスをかけていた。頭に布をかぶった外国人はたまに見かけるが、覆面の観光客などまずいない。


「こいつはにゅうめんマン!」

 と天狗が気づいた瞬間、覆面の男が他の観光客たちに「今だ!」と叫んだ。観光客たちは素早く天狗の背側に回り込み、手に持っていたボールを、天狗の背に向かって一斉いっせいに投げつけた。ボールは体にぶつかると弾けて、どろどろした中身をぶちまけた。中に入っていたのは接着剤だ。


にゅうめんマンたちは、この駅に天狗が現れることを予測し、観光客の団体に変装してずっと待ち伏せていたのだった。


次の瞬間、自分を取り押さえる隙を与えず、天狗は全力で逃げ出した。駅のホームから自動改札のある地下通路へ、そこからさらに地上へと2つの階段を風のごとく駆け上がり、そこで、空へ飛び上がるために翼を広げようとした。だが、どういうわけかこれがすごく広げにくく、羽ばたいて飛ぶこともできない。ここではじめて天狗は、観光客たちが自分にボールを投げつけた意図を理解した。


「あいつら、やりやがったな」

 腹立たしい策略だ。だが、のんびり怒っている余裕はない。後ろから、下手すぎる変装を解いたにゅうめんマンが猛スピードで追いかけて来た。

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