表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヌードル戦士☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
1章 鞍馬山の怪人
7/64

窮地の天狗

にゅうめんマンたちのかたわらでは、万休電鉄の駅員2人が戦いを見守っていたが、激しい戦闘を見ているうちに気分が盛り上がってきて、ついに実況と解説を始めた。


「いやあ。想像以上のすごい戦いですね」

「はい。まさに命がけの戦いです」

「しかしここで、にゅうめんマンのヘッドロックがきまりました。このまま天狗が敗れて試合は終わってしまうのか。どうでしょう、解説の江木印さん」

「そうですね。にゅうめんマンは細めの体型からは想像できない、とんでもない怪力の持ち主ですから、普通に考えたら、天狗がヘッドロックから逃れるのは無理でしょう」

「やはりそうですか」


駅員たちのことは放っておいて、にゅうめんマンは天狗の頭を腕で締め上げ降伏を迫った。

「どうだ。もうどうしようもあるまい。まいったと言え」

「うぐぐ……」


だが、天狗も相当な実力者であって簡単には負けを認めない。強力なヘッドロックを受けながらも、ありったけの神通力を発揮して、さっき以上のすさまじい大風を吹かせた。


「おおーっと!大変なことが起こりました!!」

 駅員の1人が叫んだ。

「どうしましたか。実況の院絵木さん」

「突風を受けて、私のかぶっていた制服の帽子が、線路の奥の方へ吹き飛ばされてしまいました。帽子をなくしたとなっては、上司に怒られることは間違いありません!」

「あなたの帽子のことはいいので、にゅうめんマンたちの戦闘を実況してもらえませんか」


一方、にゅうめんマンは大風を受けて、技をかけたまま、天狗ともどもホーム上をころころと転がり始めた。


「おおーっと!大変なことが起こりました!!」

 駅員がまた叫んだ。

「どうしましたか。実況の院絵木さん」

「突風を受けて、私のかぶっていたかつらが、線路の奥の方へ吹き飛ばされてしまいました。高いかつらをなくしたとなっては、妻に怒られることは間違いありません!」

「あなたの家庭の事情はいいので、にゅうめんマンたちの戦闘を実況してもらえませんか」


ホーム上を転がっていたにゅうめんマンは、運悪く、近くに立っていた大きな柱に頭をぶつけた。このとき腕の締め付けが緩んだので、天狗はヘッドロックを解くことができた。


「ここで天狗、得意の神通力を駆使してヘッドロックから抜け出したぁ!」

 エキサイトした実況の駅員が言った。解説もこれに応えた。

「まさか、にゅうめんマンのヘッドロックを解けるとは思いませんでした。腕力だけで試合は決まらないんですね」

「そうですね。私はこないだあの天狗に殴られたので、できれば、にゅうめんマンに勝ってもらいたいですけどね」

「私もさっき殴られました。にゅうめんマンには、あのいまいましい烏天狗をぜひともらしめてほしいところです」


天狗は駅員たちをひっぱたいて黙らせ、にゅうめんマンの方へ向き直った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ