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ヌードル戦士☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
3章 大手の邪神たち
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武力が支配するアウトローな世界

タンババは、ギリシャ神話のミノタウロスに似た牛頭の怪物だ。首より下は人間の男に近いが、全身に茶色っぽい毛が生え、普通の人間より大柄で筋肉質だった。ゆったりした生成きなりの長ズボンをはいており、見たところ、その他は何も身に着けていない。ちなみに、角の形状から、普通の牛ではなく水牛(バッファロー)の化け物であることを、にゅうめんマンは見抜いた。


さて、にゅうめんマンはタンババ&丹波橋景子と対峙たいじして身構えた。戦闘前の引き締まった空気が3人の間に流れる。


最初に攻撃をしかけたのはタンババだった。鼻息を荒げ、にゅうめんマンめがけて勢いよく突進した。巨体を活かしたタックルだ。こいつほど体当たりが似合うやつはなかなかいない。


だが、残念ながらそのタックルは、にゅうめんマンを攻撃するには遅すぎた。似合うかどうかはともかく、前日にゅうめんマンがくらった嵯峨野玲子の体当たりの方が手強てごわい。にゅうめんマンはさっと飛びのいて難なくかわした。


「なんだその半端なタックルは。体当たりってのはこうするんだ!」


にゅうめんマンはぐっと力を込めて全速力で突進し、猛烈なショルダーチャージをタンババにお見舞いした。標的が大きいので当てやすい。タンババは、暴走するオートバイにはねられた牛のようにぶっ倒れた。


「まだまだいくぞ。とおっ!」

 にゅうめんマンは高く飛び上がり、タンババの胴体に激しいエルボードロップをぶち込んだ。


「ぐふっ」

 とタンババはうめいたが、見た目どおり体が頑丈なようで、すぐに起き上がろうとした。そうはさせるかと、にゅうめんマンはすかさず2発目のエルボードロップをみぞ落ちにぶち込み、さらに次の瞬間には、倒れているタンババの巨体を抱え上げてダメ押しのジャーマンスープレックスを放ち、丹波橋景子がいる方を目がけて、豪快に放り投げた。


むちゃくちゃな攻撃が飛んで来たので丹波橋景子はびっくりしたが、そんなに速い攻撃ではなかったので、うまくかわした。しかし、タンババはタイル敷きの床に強く打ちつけられ、ノックアウトされて動かなくなった。


タンババと一緒に戦うはずだった丹波橋景子はが展開が速くてついてゆけず、ここまで、相棒がやられるのを見ていただけだった。あっさりタンババをやっつけたにゅうめんマンがそちらへ目を向けると、丹波橋景子は迷わず逃げ出そうとした。だが、とっさに動いた嵯峨野玲子によって、服の裾を捕まえられてしまった。


「私を襲撃しておいて、生きて帰れると思っているんじゃないだろうな……」

 嵯峨野玲子は、捕まえた丹波橋景子をにらみつけた。目がわっている。恐すぎだった。


「ひえぇ」

 丹波橋景子はじたばたして逃がれようとしたが、嵯峨野玲子は首筋に手刀を降り下ろして丹波橋景子を打ち倒し、体を踏みつけた。

「なぜ私を襲った」

 有無を言わさず問い詰められて、丹波橋景子は、嵯峨野玲子襲撃のいきさつを語り始めた。

「聞くところによると、最近、京都市の鉄道業界は、武力が支配するアウトローな世界になったそうじゃないか。多分お前の耳にも入っているだろう」


「ちょっと待て」

 にゅうめんマンが口をはさんだ。

「何か誤解があるようだが、武力による支配どうこうは霊山電鉄が勝手にやっているだけで、京都の鉄道業界はそんな下品な世界にはなっていないぞ。現に、鞍馬山の烏天狗と、そこにいる嵯峨野玲子は、武力に訴えたがどちらも失敗した」

「私が万休電鉄を武力で支配しようとしたみたいな言い方しないでよ。そんなこと全然望んでないし、いうほど暴力もふるってない」

 実際、嵯峨野玲子は万休電鉄の営業を妨害したものの、一般人にはほとんど手を出さなかった。にゅうめんマンがぼこぼこ殴られて、心がくじけそうな痛い思いをしたのは、例外的な不幸だったのだ。


それはさておき

「ともかく私たちはそういうふうに理解したんだ」

 と言って丹波橋景子は話を続けた。


「京都の鉄道業界がアウトローになったのなら、私たちも武力で京都を支配したいと考えた。でも、そこで邪魔になるのが嵯峨野姉妹だ。京都メトロの嵯峨野姉妹は強くて誰もかなわない」

「それで?」

「ところが、うまい具合に、嵯峨野姉妹の妹がいなくなったという情報が入った。京都の鉄道はみんな密接に結びついているから、そういう情報はすぐ耳に入る。いなくなった詳しい事情までは分からなかったがな」

「ふん」

「嵯峨野姉妹は2人そろわないと力が落ちるのは周知のこと。だけど、それでも多分私やタンババより強いし、正直言って、私たちが2人がかりでも勝てるかどうか怪しい」

「じゃあなんで私を襲った」


「決め手になったのはもう1つのニュースだ。つい昨日、嵯峨野玲子が誰かと決闘して、霊力・体力を使い果たした挙句あげくに負けたという目撃情報があった。それで、『今なら嵯峨野姉妹は片方しかいないし、しかも激しい戦いに敗れたばかりで弱っている。嵯峨野玲子を抹殺し、京都の鉄道を支配下に置くチャンスは今しかない』と思って、一時的にタンババと手を組みお前を襲った。にゅうめんマンが現れなければ、もくろみどおりになっていただろう」


「そんな簡単に他人を抹殺するんじゃない!ひとの命を何だと思ってるんだ」

 嵯峨野玲子は怒った。にゅうめんマンは嵯峨野玲子に抗議の目を向けたが、無視されてしまった。

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