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縁は異なもの味なもの  作者: 婀能緑茶
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出会い①


 「ちょっと早かったかな。」


 母の電話から約2週間ほど時間が経過した。こちらの準備も終わり、いよいよ合流というか同居を開始…というわけなのだが、今だに分からないことが2つ。


 「名前…教えてもらえないまま来たけど、何考えてるんだろう。」


 あれから何度か母と連絡を取ったが、何故か名前の確認をしようとすると話を濁された。しかも相手側の親御さんとも連絡を取った際も名前は濁された。ただ、うちの子達をよろしくお願いします、と。そんな隠すようなことなのだろうか、謎である。駐車場で腕を組み唸る。


 現在、午前8時50分。待ち合わせは9時に駅前で、ということなので車を降りて目印にしていたベンチに向かう。

 携帯で時間を確認しつつ、それっぽい人がくるまでアプリゲームで時間を潰す。


 …10分後…


 「うーん、来ないなぁ。」


 平日の午前中ということで人は少なく、すぐに合流できると思っていたのだが、改札口からそれっぽい人物が現れる気配がない。

電車に乗り遅れたのかと思い、確認の連絡するか否か少し悩む。


 2人分の連絡先は聞いてはいるが、初めて連絡するとなると少し緊張する。次の便がついてもそれらしい人が来なければ連絡することにした。


 …15分後…


 「あれぇ?マジで来ない。」


 何人か駅の改札口から出ては来たが、二人組の子ども、という条件に当てはまる人物達が来ない。流石に心配になり、連絡を決意する。


 どちらに連絡するか悩んだが、とりあえず【上の子】に電話をかけてみる。が、なかなか出ない。


 「んー?下の子にも電話してみるか。」


 連絡先を確認し、次に【下の子】に電話を掛ける。

 が、これまたなかなか出ない。


 「どうすっかなぁ。待ち合わせの駅はここで間違いなー」

 

 「…あ、あのっ!すいません!」


 「えっ、あ、すいません。なんでしょう。」

 

 携帯の画面と睨めっこしていると、不意に声をかけられた。しかも女性。なぜだか分からないがつい反射で謝ってしまった。というかどういった理由で声をかけてきたのか思わず心は身構える。


 「人違いだったらすいません…桐島忍さん…で間違い無いですか??」


 「確かにそうですけど…えっとどこかで会ったことありましたっけ??」


 声の主は、可愛らしい女性だった。女性…というか女の子。

 接客業をしていたら多くの人と接する機会はあるが、どうにも記憶に引っかからない。こんな可愛い子に接客してたら絶対に覚えているはずなのだが。


 「よかったぁ。すいません、お待たせしてしまって。その…姉がちょっと電車で酔っちゃって、落ち着くまで休ませたんです。もうすぐ姉も来ますので…」


 申し訳なさそうにペコリと頭を下げるこの少女は何を言っているのだろう。まるで自分と待ち合わせをしているかのような話し方だが…



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