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アルファとオメガ  作者: nkt
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1

いつもと変わらない、街。人。空。


迫り来る敵。


そして隣には、私の相棒。


「行くぞオメガ」


「うん、アルファ」


お互いに呼び掛け合い、砕けた笑顔を見せる。


一体これで何回目のやり取りだろう。でも関係ない。


この時が、この瞬間が私の人生で一番の幸せなのだから。


「ヴオォォオォオオ…」


こちらに気づいたのか、重く、低い唸りをあげる“敵”。


空中を不気味に漂い、こちらの出方を窺っている。


これが私達の、いつもの日常。


『きっと一生続くのだろう』


そう信じて疑わず、私は彼女と共に、今にも暴れだしそうな敵へと立ち向かって行った。



「いや、雑!」


ひとしきり仕事を終え、帰路に着くアルファとオメガに掛けられた言葉は、意外にも辛辣なものだった。


「ちょっとそれ酷くない?」


「ちゃんと殲滅したよ?」


アルファ達も負けじと抗議をする。しかし彼女・イコールは、通信電話の向こうで御立腹であった。


「誰が“街のど真ん中で殲滅しろ”って言った?私は市街地の外の“旧市街地”で殲滅しろって言ったの!お陰様で市街地が、死骸と血だらけじゃないの!」


「うわぁ、ダジャレかよ」


「うっさい!とにかく、今後はこうならないように気を付けなさい!」


イコールはそう捲し立てると、通信の回線を勢いよく切った。


ツー、と小さいノイズが虚しく鳴り響いた。


「…街の後片付けはやってくれるのかな」


大事なことを聞きそびれたような気がする、という顔でオメガがアルファの顔を覗くと、アルファは気にも止めない様子で笑いながらオメガの肩を叩いた。


「大丈夫、大丈夫!いざ頼まれたって私達の“能力”なら朝飯前だろ?そう気にしなくていいって!」


「いや、それはそうだけど…作業員さんの労力とかの方が気になるっていうか…ていうか私達、今から現場に行った方が良いのでは…」


そこまで言いかけるとアルファは笑いながら


「オメガは心配性だなぁ!」


と、まるで「行きたくない」と遮るように、オメガに抱きついた。


「もう…」


アルファの身勝手さに呆れた溜め息をつくオメガ。


しかし彼女はこの瞬間、とてつもない幸福を感じていた。


「でも、そうだね。アルファ」


「ん?」


「私の中の心配を中和してくれるのは、アルファだけだよ」


そう言うとオメガは、自身に抱きつくアルファの腰にそっと手を回し返した。

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