死神の中にいるドラゴン
午前二時四十分
「で……できた。ついにできたぞ」
目に隈を作ったレイジは嬉しそうに笑みを浮かべた。
彼が笑みを浮かべている理由は一つ。
新たなロボット型魔道具を完成させたからだ。
そのロボット型魔道具は白い装甲に覆われており、翼の形をした推進器が背中に搭載されていた。
まるで天使のような人型ロボット。
(これを作るのに寝ずに三日間……がんばった)
フゥ―と息を吐くレイジ。
今、彼は達成感と疲労感を感じていた。
「完成……したんですね」
背後から聞こえた女性の声。
振り返ると、そこには三人の女神がいた。
ハデス、アテナ、ポセイドンの三人だ。
「おう……これでゼウスは復活できるな」
「はい……本当にありがとうございます」
ハデスは深く頭を下げた。
ハデスだけではない。ポセイドンもアテナも頭を下げる。
「すまんが……あとは頼む。俺は寝る」
「はい。おやすみなさいませ。ご主人様」
レイジはベットの上に倒れ、目を閉じる。
「ん?……ここは」
ベットの上で寝ていたはずのレイジは、いつの間にか知らない場所にいた。
その場所はとても広く、白い空間。
「なんか……アニメでよくある展開……ん?」
レイジは大きな扉を見つけた。
その扉には竜の絵が描かれていた。
「……」
無意識にレイジはその扉に近付いた。
すると扉が勝手に開き始める。
「おい……なんだよアレは……」
扉の先にあるものを見て、レイジは呆然とした。
今、彼の視線の先にあったのは、
大きな……そして神々しい漆黒のドラゴンだった。
そのドラゴンは無数の角と六枚の美しい翼を生やしていた。
ドラゴンはいくつもの強固な鎖で縛られており、動きを封じられている。
そして眠っているのか、目を閉じていた。
「……こいつはいったい」
レイジはドラゴンに近付く。
その時、ジャリッと何かを踏んだ音が彼の耳に聞こえた。
足に視線を向けると、地面にはいくつものちぎれた鎖が落ちていた。
「……マジでなんなんだこいつは」
レイジはドラゴンに触った。
次の瞬間、ドラゴンの身体を縛っていた無数の鎖が大きな音を立ててちぎれた。
半分以上の鎖がちぎれた後、ドラゴンはゆっくりと目を開き、レイジを見る。
『……ああ、遂にここに来てしまったのですね』
「喋った!?」
まさかドラゴンが喋るとは思わなかったレイジは、驚く。
『あなたがここに来たということは……もうすぐ私が目覚めるのですね』
「……お前は……お前はいったい……なんなんだ?」
『私は……あなたの力です』
「どういう意味だ?」
『目覚めることのないはずの力……永遠に封印されているはずの力……それが私です』
「目覚めることのないはずの力……永遠に封印されているはずの力……?』
ドラゴンの話を聞いていたレイジは嫌な予感を感じた。
だが嫌な予感がしても、聞かずにはいられなかった。
「もっと……もっと詳しく教えてくれ。なんでその力を俺は持っている。なぜお前は封印されている」
『……あなたは強敵と戦いすぎた。そのせいで私は目覚めようとしているのです』
「質問に答えろ!お前は……!」
『私が完全に目覚めた時……あなたは』
『望まぬ運命をたどるでしょう』
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