ルルアはついて行く
「あ~…身体中がいってぇ~」
ベットの上で横になっていたレイジは、ハァとため息を吐く。
今、彼は途轍もない疲労感と筋肉痛のような痛みに襲われていた。
邪神教の最後の幹部〈双子座〉を倒す時、レイジは真化を使った。
真化を使うことには成功したが、 その反動でレイジは動けないでいたのだ。
「大丈夫ですか…マスター?」
部屋に入ってきたルルアはレイジに近付き、心配そうな顔で声を掛ける。
「お前が心配するなんて珍しいな」
「いや……マスターの辛そうな様子を見たらそりゃあ心配しますよ」
「……正直、キッツイ…回復系スキルや魔法で治そうとしても疲労感と筋肉痛のような痛みが消えない」
何度もレイジはスキルや魔法で治療しようとしたが、効果はなかった。
それほどまでに真化は強力で危険なものだった。
「そんなに?」
「ああ……でも昨日よりはマシになった。明日には治っているだろう」
「……明日、行くんですか?」
「行くしかないだろう。アイツの所に」
「相手は魔獣LV7の中で最強の魔獣なんですよ?」
レイジは女神の女王ゼウスを復活させるために、魔獣LV7を狩ろうと考えている。
だがレイジが狩ろうとしているLV7の魔獣は、魔獣の中で最強と呼ばれる魔獣。
名は……ハングリー。
どんなものだろうと喰らいつくす最強の魔獣。
「マスター……考え直してください。ハングリーは危険です。他のLV7の魔獣を」
「ハングリー以外の魔獣LV7の居場所は分かっていない……それは知っているだろう」
「それは……」
レイジだって最強の魔獣と戦わずにいられれば、戦いたくない。
しかしハングリー以外の魔獣LV7がいる場所は、現在分かっていないのだ。
「時間ないんだ……それにハングリーは魔獣最強ではあるが、弱点がないわけじゃない。そうだろう?」
「……」
最強の魔獣ハングリーは、化け物の中の化け物。
アニメでも主人公達を苦戦させていた。
だが勝算がないわけじゃない。
レイジは本気で……倒すつもりでいた。
「必ず勝つ……だから心配するな」
「……なら、私も連れて行ってくださいよ」
「ハァ!?」
ルルアの言葉にレイジは目を丸くする。
「なに言ってんだ。ハングリーと戦うのは俺とポセイドンって、決めたばっかだろう?」
「それでも行かせてくださいよ。マスターの手助けをして、あなたからたっぷりお礼を貰いたいんです」
ケラケラと笑いながら、ふざけるように言うルルア。
だがレイジはふざけている場合か!と突っ込まなかった。
「危険だぞ?冗談抜きで」
今のルルアは最高位の女神と同等の力を持っている。
雷属性のスキルや魔法に関しては、レイジ以上。
共に戦ってくれるのは心強い。
しかし……相手は魔獣最強。
最悪の場合、
「死ぬかもしれないぞ?」
レイジの言葉にルルアは、
「死にませんよ。マスター……あなたとこれからもふざけたり、遊んだりしたいので」
ニッと笑みを浮かべて、そう答えた。
「ハァ…まったく」
レイジは頭をガリガリと掻きながら、ため息を吐く。
なにを言っても聞かないと理解した彼は、
「分かったよ。一緒に行こう」
「はい」
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