ヤバいぜこの二人は!
『ふふふ……いいですね。最高ですね』
薄暗い空間の中で、下卑た笑い声が響いていた。
笑い声を上げていたのは、白い兎のぬいぐるみ。
そのぬいぐるみはアイカメラを怪しく光らせながら、小さなリモコンを操作する。
ぬいぐるみがリモコンのボタンを押すたびに、パシャパシャとカメラのシャッター音が鳴り響く。
『いいですね、マスター。……次は胸を強調する感じで』
「……な、なぁまだ続けるのか、ルルア?」
恥ずかしそうに問い掛けたのは、長い白銀の髪を伸ばした女性。
雪のような白い肌に豊満な胸。引き締まったお腹に、長い美脚。
そして血のような赤い瞳。
まさに絶世の美女。
そんな彼女は頬を赤くしながら、自分の身体を抱き締める。
「もう十分写真は撮っただろう?もう良いだろう?」
今、銀髪の女性が着ている服は、大胆な黒い水着。
胸や股などの恥部だけが小さな布で覆われているだけ。いわゆるマイクロビキニだ。
そんな露出が多い水着を着用している彼女の周りには、カメラが搭載されたドローンが飛んでいた。
『駄目です!まだ少ししか撮ってません!』
「少しって、もう五時間も撮ってるだろ!?」
『つべこべ言わずに早くやる!』
「クッソ…ご褒美を上げるなんて言うんじゃなかった」
涙目になりながらも、銀髪の美女—――光闇レイジはルルアの言われた通りに行う。
大きく膨らんだ自分の胸を両手で持ち上げ、上目遣いをした。
すると兎型ぬいぐるみAI—――ルルアは歓喜の悲鳴を上げる。
『キャー!いいですね!これですこれ!』
興奮した様子でルルアがリモコンのボタンを連打。
ドローンに搭載されたカメラから、シャッター音が鳴り響く。
恥ずかしい格好とポーズをさせられ、しかも写真を撮られるレイジは、死にたくて仕方がなかった。
(早く…早く終わってくれ~!)
心の中で叫ぶレイジ。
よく女性はこんな水着を着られるなと、彼はある意味尊敬した。
『は~い次は…股を大きく開いて、Wピースで』
「そ、そこまでやるのか!?」
『ほらほら早くしてくださいよ』
「わ、分かったよ」
トマトのように顔を赤くしながら、レイジは股をゆっくりと開く。
恥ずかしさのあまり、頭の中が沸騰する。
限界まで股を開いた彼は、両手の人差し指と中指を立てて、ピースをした。
その時、ブチッとなにかが切れる音が聞こえた。
同時に、胸という名の果実を隠していた布が床に落ちる。
「え?」
目をぱちくりとしながら、レイジは床に視線を向ける。
そして気が付く。
床に落ちた物が、先程まで自分の胸につけていたブラジャーだと。
止まっていた思考が動き出し、レイジは赤い顔を更に赤くする。
「うわあぁぁぁぁ!!」
慌ててレイジは、両手で自分の胸を隠した。
だがそれよりも早く、ルルアはリモコンを操作。
ドローンに搭載されたカメラから、シャッター音が連続で鳴り響く。
『ラッキースケベ、ありがとうございます!』
アイカメラを強く発光させながら、ルルアは写真を撮りまくる。
一流カメラマンが口を開けて驚くほど、ルルアのドローン撮影は上手い。
写真を撮るタイミングや角度などパーフェクト!
そして写真を撮られているレイジは、恥ずかしくて死にそうだった。
いや、死ぬ寸前だった。
「もう…もう……勘弁してくれれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
◁◆◇◆◇◆◇◆▷
「はぁ……昨日は最悪だった」
深いため息を吐いて、肩を落とすレイジ。
昨日、ルルアにエッチな水着姿を撮らされたせいで、彼の精神は疲れ切っていた。
「たく…なんだよあの水着。誰が考えたんだよ。絶対にバカで変態だろ」
ブツブツと愚痴を呟きながら、レイジはカウンターテーブルを拭いていた。スカートが短いメイド服を着た女性姿で。
フリルが沢山付いたスカートを揺らしながら、ふきんでテーブルを綺麗に拭く。
まるで本当のメイドのような仕事っぷりをするレイジは、長い銀髪を手で払う。
「よし、こんなものかな」
カフェのテーブルを全て拭き終えたレイジは、ふきんを片付ける。
その時、同じデザインのメイド服を着た少女が彼に近付く。
三つ編みにした金髪に、小学高学年ぐらいの身長。
目は少しツリ目で、どこか大人気な雰囲気を纏っていた。
「こっちは終わったぞ、レイジ」
「お疲れ様。どう?仕事は慣れたか?」
「ぼちぼちだ」
素っ気なく返事をする少女を見て、レイジは微笑む。
それが気に入らなかったのか、彼女は眉を顰める。
「なに笑っている?」
「いや…セシーが可愛いなと思ってな」
「か、かわっ!?」
可愛いと言われるのが慣れていないのか、少女―――セシーは顔を赤くして動揺した。
「な、なにをふざけたことを言っている!」
「別にふざけていないぞ?事実を言ったまでだ」
「~~~!もういい!私は愛花の手伝いをしてくる!」
恥ずかしくて我慢が出来なくなったセシーは、厨房の方へ向かった。
そんな彼女の背中を見つめながら、レイジは口に手を当ててクスクスと笑う。
「ずいぶんと可愛くなったな。あのセシリアが」
セシー。彼女はレイジのスキル〔成長操作〕で子供の姿になったセシリア。
一応セシリアは死んだことになっているため、姿と名前を変えたのだ。
今ではカフェ【ライトフェアリー】で働く従業員であり、新しい家族。
夕陽と朝陽はセシーを気に入っており、仲良くやっている。
ただ一つだけ、問題があった。
「ちょっとセシー!また私のシャンプーを使ったでしょ!これ結構高いんだから!」
「うるさいな、別にいいだろ!」
「よくないよ!」
「まったくお前は相変わらず身体と心の器が小さな」
「胸が小さい人に言われたくない!あ、ごめんなさい。今はもっと小さくなっていたんだった」
「表に出ろこのクソチビ野郎」
「上等だよ、まな板ガール」
厨房から響き渡る愛花とセシーの怒鳴り声。
それを聞いてレイジは呆れた表情を浮かべる。
「また始まった」
セシーと愛花はとにかく仲が悪く、なにかしらで喧嘩をする。
口喧嘩ならまだいい。
だが時々周囲の物が消し飛ぶほどの喧嘩をすることもある。
そのためレイジが喧嘩を止めたり、消し飛んだ物を魔法やスキルなどで修復したりしなければならない。
「あ~、面倒くさい」
深いため息を吐くレイジ。
しかし彼は、二人の喧嘩を止めることはあっても、喧嘩をやめろとは言えなかった。
なぜなら喧嘩をする愛花とセシーはとても生き生きしており、楽しそうだから。
彼女達にとって喧嘩は一種のコミニュケーションなのだろう。
「喧嘩するほど仲がいい……か。よく言ったもんだ」
そう呟いたレイジは苦笑した。
そんな彼にルルアが歩み寄る。
『おはようございます。マスター』
「おはようさん。今日は珍しく速いな」
『裕翔さんに頼まれたんですよ。朝早くから仕事を手伝ってくれって』
「ああ~そういうこと」
ルルアは見た目の可愛さで、客を集めている。
その結果、今では【ライトフェアリー】のマスコットキャラクター的な存在になっていた。
そのおかげで店は大繁盛。多くの客達が寄ってくれるようになった。
『ふふふ。まぁ、私の可愛さでもっとお客様を呼びましょう』
「そいつは頼もしいよ」
『何を言っているんです?あなたも可愛いんですから、それを活かしてもらいますよ』
「え?活かす?」
言っている意味が分からず、レイジは首を傾げた。
ルルアはアイカメラをキランと光らせ、空中に画面を投影させる。
その画面には、【ライトフェアリー】のことが色々と書かれていた。
「これは?」
『ここのホームページです。裕翔さんから頼まれまして』
「へぇ~これお前が作ったのか。器用だな。デザインも悪くない」
『はい。一万円分を注文するとマスターとツーショット写真が撮れるということも書きました』
「なにとんでもないことを書いてんだテメェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」
まさかのトラブル発生。
知らない間にメイド喫茶のようなことが起こっていた。
「なんでそんなことを書いたんだよ!」
『マスター、折角可愛いんですから、それを活かさないと』
「意味わかんないよ!」
『裕翔さんから許可を貰ってます』
「お父さぁぁぁぁぁぁん!?え?マジでお父さんが許可したの!?」
『遊園地で【邪神教】の者達と戦った罰だそうです』
「そんなこと言われたら何も言い返せないぜ!」
『それよりもそろそろ開店しますよ?ほら、店の扉の前にはたくさんのお客様が』
「え?もう!?」
慌ててレイジは窓のガラス越しから、外を確認する。
扉の前には多くの客達が並んでおり。開店はまだかまだかと待っていた。
そのことにレイジは目を大きく見開く。
「なにこの過去最高の行列は!?」
『マスターも人気ですからね。あの【邪神教】の幹部の一人を倒し、崩壊した遊園地を修復。さらに怪我人を治療したんです。これだけのことをしたら人気にもなりますよ』
「普通は怖がられない!?」
『恐怖を通り越して尊敬するようになったのでしょう。はい、お話はこれで終わり。さぁ死神メイド光闇レイジちゃん。お仕事の時間ですよ』
「このクソ兎。あとで絶対にスクラップにしてやるからな!」
復讐するのを心に強く誓ったレイジ。
彼は一旦気持ちを切り替えて、ドアノブに手を掛ける。
「さぁ……開店だ」
レイジはゆっくりと扉を開けた。
すると外で並んでいた客達は、彼に視線を向ける。
多くの人間や女神に見られている中、レイジは動揺せず、笑顔を浮かべた。
その笑顔はとても魅力的で、人懐っこいものだった。
「大変お待たせしました。ライトフェアリー開店です」
レイジがそう言うと、客達は歓喜の声を上げた。
◁◆◇◆◇◆◇◆▷
それから数時間後。
二階のリビングのソファーで、レイジは横になっていた。
彼は生気が吸い取られたミイラの如く、疲れた顔をしていた。
「今日はいつもの四倍きつかったわ」
接客や料理を運ぶのなら、前世で経験をしているため、あまり苦ではない。
しかし今回は多くの人達とツーショット写真を撮ったり、握手など慣れていない事をした。
そのせいでレイジは、疲れ切っていた。
「もう無理…男として何か失った気分」
もう既に失っているのでは?と突っ込みたくなるような発言をするレイジ。
彼は深いため息を吐いて、顔に手を当てる。
「……そういえばあの日から二週間ぐらい経ったな」
あの日。それは遊園地に【邪神教】が攻めてきた日の事だ。
あれ以来、何事もなくレイジ達は平穏に暮らしている。
それがレイジには、気味が悪かった。
【邪神教】は最高幹部の二人を失った。
だというのに【邪神教】はなにもしてこない。
普通は報復ぐらいはしてくるはずなのに。
(もしかしたらなにか準備をしているのかもな。早いうちにアレを完成させないとな)
レイジが今後の事を考えていると、セシーが近づいてきた。
彼女は疲れ切っているレイジを見て、鼻で笑う。
「私を倒すほどのお前でも、そんな風になるのだな」
「うるせぇよ。こういうの苦手なんだ」
「死神のくせに情けない」
「人間か女神か分からない人に言われたくない」
セシーは人間でも、女神でもない。だが同時に人間でもあり、女神でもある。
彼女は特殊な神魔体質を持っており、その能力は契約する女神と一体化するというもの。
一体化したことで人間離れした身体能力、戦闘技術、神力などが手に入り、完全神装が簡単にできるようになるのだ。
「それよりなんだよ?嫌味を言いに来たわけじゃないだろ?」
「まぁ…その……ちょっとな」
頬を指でポリポリと掻きながら、セシーは視線を逸らす。
どこか恥ずかしそうにしている彼女に、疑問を抱いたレイジは首を傾げる。
「どうした?トイレならあっちだぞ」
「違う!そっちではない!お礼を言いに来たんだ?」
「お礼?」
セシーは首を縦に振り、「そうだ」と言う。
「あの時……私に自由と選択を与えてくれたこと。本当に感謝している」
目を細めながら、セシーは思い出す。あの日、自分が倒された後の事を。
◁◆◇◆◇◆◇◆▷
硬いコンクリートの床の上で気を失っていたセシリア。
彼女は呻き声を上げながら、ゆっくりと瞼を開ける。
最初に視界に入ったのは、見知らぬ天井。
セシリアは上半身をゆっくりと起こし、周囲を見渡す。
「ここは……?」
「俺の秘密基地だ。セシリア」
「!!」
突然聞こえた女性の声。
声が聞こえた方にセシリアは視線を向ける。
視線の先にいたのは、壁に背中を預けている銀髪の女性—――光闇レイジだった。
レイジは腕を組んだまま、セシリアを見つめている。
「目が覚めたようだな。どこか調子は?」
「……なぜ私は生きている。確かに死んだはずだ」
セシリアの言う通り、レイジの攻撃によって命を失った。
だが何故か生きている。
鼓動を感じる。体温があった。血が身体中を流れている。
セシリアの疑問を解くために、レイジは口を動かす。
「ユニークスキル〔神炎鳥〕の効果さ。火属性の適正LVが一につき、十パーセントの確率で蘇生することができる」
「……お前の適正LVはいくつなのだ?」
「十だ」
「なるほど…強いわけだ」
セシリアは乾いた笑みを浮かべた後、すぐに真剣な表情をする。
「なぜ助けた。私達は敵同士だ」
【邪神教】である者達が世界の平和を脅かす絶対的な悪。
殺されても仕方なく、助ける必要がない存在。
それが幹部というなら尚更だ。
だというのにレイジは、セシリアを助けた。
「なぜだ。なぜ敵である私を!」
「あんたはもう敵じゃない」
セシリアの言葉を遮るように、レイジは言葉を発した。
レイジは深紅の瞳をセシリアに向けて、言葉を続ける。
「【邪神教】の《邪聖の十二星座》、〈蠍座〉のセシリアは死んだ。今のアンタはただのセシリアだ」
「なにを……言って」
「つまり…もうアンタは自由だ」
「じ…ゆう……」
自由。それはセシリアの人生にはなかったもの。
セシリアは呆然としながら、自分の両手を見つめる。
「私は……自由なのか」
「そうだ。名前を変え、新しい人生を歩める」
「けれど……私は【邪神教】の幹部だ。裏切ることはできない」
セシリアは長年【邪神教】として生きてきた。
そのせいで自由と選択を奪われ、命令通りに動く傀儡となってしまった。
だがレイジには分かる。本当はセシリアは自由に生きたいのだと。
故にレイジは助ける。目の前にいる女性を。
「いいんだよ裏切って。お前の人生はお前のものだ」
「しかし」
「セシリア。お前は道具じゃない。人だ……自由に選択し、自由に生きる存在だ」
「……」
「お前が本当に【邪神教】に戻りたいなら、俺は止めない。だけど……少しでも嫌ならやめろ。そしてもしどう生きればいいか分からないなら……俺の仲間になれ」
「え?」
呆然とするセシリアに向かって、レイジは手を伸ばす。
「俺が教えてやる。別の生き方を。平和を。自由を。選択を!だから……来い!今なら美味しい紅茶とクッキーをあげよう!」
自分を殺し、そして新しい人生を作ってくれた白銀の死神。
そんなレイジが、セシリアには眩しい希望の光に見えた。
「なるほど……勝てないわけだ」
微笑みを浮かべるセシリアは、差し出されたレイジの手を握る。
「毎日…うまいクッキーを頼むよ」
◁◆◇◆◇◆◇◆▷
「あの日から私の人生は変わった。本当に…ありがとう」
頭を下げて、感謝を述べるセシー。
彼女は心から感謝していた。自由と選択を与えたレイジに。
(そうか…俺は救えたのか。彼女を)
良心を殺し、教皇の命令通りに動いてきたセシリア。
そんな彼女をレイジは救ったのだ。
「どういたしまして…かな」
レイジはソファーから起き上がり、笑みを浮かべた。
「そういえばセシーに聞きたいことがあったんだ」
「ん?なんだ」
「昔のお母さんってどんな感じだったんだ?」
光闇愛花はアニメに出てこなかったキャラクター。
だから少し気になっていた。【邪神教】にいた母の事が。
「そうだな…昔のあいつは冷たくて、氷の女って感じだったな」
「え?嘘でしょ?」
愛花はいつも明るく、活発な女性だ。
そんな彼女が昔は冷たい氷の女だったとは、レイジには信じられなかった。
「本当さ。寧ろ私が驚いたさ。あの〈小さな破壊乙女〉があんなふうになっていたとは。
「〈小さな破壊乙女〉?」
「愛花の異名さ。あいつは《邪聖の十二星座》の中で最強だったな」
「最強…マジか」
「マジさ。それにしても今のアイツは本当に…ププ…気持ち悪いな」
笑うのを必死に堪えながら、セシーは言葉を続ける。
「とくにアイツが「ユウくん♡」って言っていたのが驚いた。あの鋼鉄馬鹿力チビ化物女が男にメロメロにされるとは…アハハ!ダメだ、面白すぎてアハハハハハハハハ!!」
腹を抱えながらセシーは大爆笑をした。
その時だった。彼女の身体が勢いよく横に吹き飛んだ。
セシーは木製の棚に激突し、埃が舞い上がる。
「セ、セシー!?」
突然セシーが吹き飛んだことに、レイジは驚愕する。
敵襲かと思ったレイジは周囲を見渡し―――気が付く。母親が居たことに。
「誰が鋼鉄馬鹿力チビ化物女なのかな?セシー?」
優しくて明るく、しかし強い怒りを宿した声音。
それを発したのは、ポキポキと指を鳴らしながら、笑みを浮かべる愛花だった。
彼女の目は暗闇に染まっており、身体から黒いオーラを放っていた。
レイジの身体から冷や汗が止まらない。
「愛花……何をする?」
自分を吹き飛ばした愛花を睨みつけるセシー。
額に血管を浮かべながら、セシーは起き上がる。
「少し腹が立ったから殴っただけだよ?」
「イカレている。というか短気だな相変わらず。よく旦那ができたもんだ」
「男が出来ていないあなたに言われたくないよ」
「…クソチビ」
「ペチャパイ」
「アハハハ」
「ウフフフ」
「「殺す!」」
笑みを浮かべながら、睨み合う愛花とセシー。
激しいスパークが起こり、窓や瓶などに皹が走る。
それを目にしてレイジは、
「じゃあ俺はこの後が用事あるから」
逃げた。複数の強化系スキルを使って、彼は走る。
大きな轟音が聞こえても。
大きな揺れが起こっても。
振り返らず、止まらず、走った。
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