幼い……少女?
父親が部屋から出て行き、一人になったレイジ。
彼はベットに寝っ転がって一枚の紙を見ていた。
その紙は父親から貰った一枚のメモ。
そこに書かれているのは、自分の家族全員の名前だった。
「えーと、父親は光闇裕翔で母親は光闇愛花。姉は光闇夕陽で妹は光闇朝陽」
これで自分と合わせて五人家族であると分かったレイジだが、一つ気になることがあった。それは紙に『裕翔の契約女神アイリス』と『愛花の契約女神リオ』と書かれた文字だ。
一瞬、なんの冗談だ?とレイジは思った。
しかし、裕翔は真面目そうだったので、ふざけて書くとは思えない。
どういう意味だ?とレイジが考えていると、扉からノックの音が響いた。
上半身を起こして、彼は「どうぞ」と言う。
部屋に入ってきたのは、お盆を持った小さな少女だった。
大きな瞳に三つ編みの茶髪。小学高学年ぐらいの身長。
フリルがあしらわれたエプロンとスカートをゆらして、少女は活発な雰囲気でレイジに声を掛ける。
「おはようレイくん!熱がさがったみたいだね!」
満面な笑顔を浮かべる彼女はまるで太陽のように輝いていた。
少女はベットの上に座り、手に持っていたお盆を自分の太腿に置く。
お盆の上にあるのは、シチューと百パーセントのオレンジジュースだった。
「ちゃんと食べないとね」
少女は木製のスプーンでシチューを掬い上げ、小さな口で息を吹く。そして冷ましたシチューをレイジの口元に近付ける。
「はい。あ~ん」
「え、あ~んって」
頬を赤くして、固まるレイジ。
精神年齢が大人なため、恥ずかしく感じた彼は断ろうとしたが、それでは子供である今の自分が不自然に思われる可能性があった。
故に羞恥心を殺して、シチューを食べることにした。
「あ、あ~ん」
頬を赤く染めたレイジが口を開けると、少女はスプーンを優しく入れる。
口の中に入ったニンジンや肉などを噛み砕いて、レイジは呑み込んだ。
「どう、おいしい?」
「とてもおいしいよ」
微笑みながら答えるレイジ。
嬉しかったのか、少女は花を咲かせたような笑みを浮かべた。
「どんどん食べてね」
少女はシチューを掬い上げたスプーンを、レイジの口元に近づけた。
レイジは彼女の優しさに甘えて、また食べる。
シチューは―――温かくて、美味しい。
どうもグレンリアスターです。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
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