エピローグ
ケリーとの戦いを終えて、一週間。
自分の部屋で温かい紅茶を、レイジは飲んでいた。
そして紅茶を飲んでいたのは彼だけではない。
「ん~。レイジくんが淹れてくれた紅茶はとても美味しい~」
浴衣姿の緑髪の少女—――覇道神楽耶はおいしそうに紅茶を飲む。
「このクッキーもおいしいよ、神楽耶」
白い眼帯をつけた金髪の少女—――ミルマール・カイザーは友人にクッキーを勧める。
二人が美味しそうに食べるから、俺も嬉しくなっちゃうな。
今日、レイジは遊びに来た神楽耶とミルマールと楽しいお茶会をしていた。
「……あのさ、二人とも。聞いてもいいかな?」
「なに~?」
「なにかしら、光闇……レイジくん」
レイジは彼女達に尋ねた。あの時のことを。
「本当に……婚約してよかったのか?俺と」
昨日、レイジは神楽耶とミルマール、そしてある少女と正式に婚約したのだ。
「俺よりいい男はいると思うし、もう少し考えてからのほうが……」
俺は世界を滅ぼすことができる死神だ。
なにより多くの命を奪ってきた。
敵を殺したことに後悔はない。
こちらからやらなければやられるから。
敵は殺さなければ、大切なものを失う。
それは料理人になるために世界中を旅をした前世で学んだ。
だけど血で自分の手を汚した俺に……彼女達を幸せにする自信がない。
「……レイジくんって意外とバカだね~」
「そうだね、神楽耶」
神楽耶とミルマールはレイジに近付き……彼の頬にキスをした。
突然の事にレイジは驚く。
え?なに!?
今、キスされた!?
「二人とも、なにを!」
「私達はレイジくんのこと~……誰よりも好きなんだよ~」
「好きな人じゃないと……婚約しないよ」
神楽耶とミルマールは頬を赤く染めながら、告げる。
「私はレイジくんが好き~」
「私もレイジくんを愛している」
面と向かって言われると、恥ずかしいな。
でも……凄く嬉しい。
「そっか……俺も二人のこと大好きだよ」
これが嘘じゃない。
アニメで活躍していた神楽耶とミルマール。
そんな二人が俺は好きだった。
いや……今でも好きだ。
まさかアニメキャラ二人と婚約することになるとは思わなかったな。
「もう~大好きって照れるな~」
「他の女の子に言っちゃだめだからね、それ」
嬉しそうに笑う二人を見て、レイジは微笑む。
「そういえば……あの子、遅いね~」
「そうだね。そろそろ来ると思うけど……」
神楽耶とミルマールが時計に視線を向けていた時、
「おっまたせ~!」
部屋の扉が勢いよく開き、一人の少女が入ってきた。
その少女はオレンジ色の髪を伸ばしており、額には炎の形をした痣ができている。
「あ、遅いよ~」
「待ってたよ」
「茜ちゃん~」
「茜」
少女—――茜は元気な声で笑う。
「わっはっはっは!ごめんごめん。レイジの婚約者にして、神楽耶とミルマールの友達、皇帝茜。ただいま到着しました!」
皇帝茜。
皇帝絶理の娘にして、レイジの三人目の婚約者。
そして……のちに最狂の破壊神となる化物だ。
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