死神VS死神1
邪神教戦艦ニャルラトホテプ。
その甲板で二人の死神は激しい戦闘を繰り広げていた。
双剣を振るい、怒涛の連撃を放つ銀髪の死神、レイジ・ペンドラゴン。
漆黒の大鎌を振るい、強力な一撃を放つ銀髪の死神、光闇レイジ。
二人の攻撃は何度も衝突し、火花が飛び散る。
金属音が鳴り響く中、レイジ・ペンドラゴンは心の中で焦っていた。
クソ、早く終わらせないとアーサーお母様やゼウス達が死ぬ!
〔魔病〕はどんな生物も苦しめ、殺すユニークスキル。
例え女神だろうとどんな化物だろうと三十分で死ぬ。
今、動けるのは毒や病や呪いを無効化するスキルを持ち、全属性適正LV10の俺だけ!
つまりなんとかできるのは俺だけなんだ!
分かっている。
分かっているが!
「くっ!強すぎる!」
コピーとはいえ、あのアニメのラスボスと戦っている。
ラスボスの光闇レイジがこんなに厄介だなんて!
偽光闇レイジの鎌撃を二本の短剣で防ぐレイジは、苦しそうに顔を歪めた。
そんな彼を見て、偽光闇レイジーーーケリーは口元を三日月に歪める。
「どうした、レイジ!この程度か!!」
「くっ!」
「ははっ!最高だな、お前が恐れる光闇レイジは!今までコピーした中で、最高だ!」
ケリーは蹴りをレイジの腹に叩き込んだ。
強烈な蹴撃を受けた彼は口から血を吐き、吹き飛ぶ。
吹き飛んだレイジはすぐに態勢を立て直し、双剣を構える。
口の中で血の味を感じながら、死神はもう一人の死神を睨む。
クソッ。
きついの喰らったな。
技とスピードだったら、俺の方が上だ。
だけど攻撃力なら偽レイジのほうが遥かに上。
アニメの光闇レイジのスキル構成は、攻撃力を強化するものばかりだったな。
なら!!
「オーバースキル〔氷魔神化〕」
レイジはオーバースキルを発動した。
彼を中心に冷気の竜巻が発生。
竜巻が収まると、レイジは身体全身に白い外殻と氷が覆われていた。
氷の化物となったレイジを見て、ケリーは「なるほど」と呟いて目を細める。
「なるほど……氷と外殻を纏って防御力を上げたか」
「まだ終わりじゃないぞ!オーバースキル〔氷魔神化〕を肉体に付与!」
レイジは己の肉体にオーバースキルを付与した。
身体の表面に銀色の文字が浮かび上がり、全身を覆っていた氷と白い外殻の上に、さらに氷と外殻が覆われる。
「行くぞ!」
双剣に冷気を纏わせ、レイジは駆け出す。
「そんな重装甲……切り裂いてやる!」
ケリーは大鎌を振るい、斬撃を放つ。
しかしその斬撃はレイジの身体を覆う氷と外殻が防ぐ。
「なるほど、硬いな。なら……スキル〔攻撃貫通〕」
ケリーはスキルで強化した大鎌を振るう。
鎌は氷と外殻を豆腐のように切り裂き、レイジの身体に傷を付ける。
赤い血が飛び散り、彼は顔を歪めた。
「ざまぁ!」
「ああ……お前がな」
レイジがそう言った直後、ケリーの大鎌が凍り始めた。
「!!」
慌ててケリーは大鎌を手放す。
大鎌は氷に覆われ、甲高い音を立てて砕け散った。
「これは」
「〔氷魔神化〕の冷気を舐めすぎだぞ、ケリー」
レイジはケリーの腹と胸に冷気を纏った双剣を突き刺す。
突き刺した場所からケリーの肉体は凍っていく。
「〔氷魔神化〕の冷気は全てを凍らせる」
「レイジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
「死ね」
ケリーの肉体は完全に凍結。
氷の像と化したケリーを見て、レイジはフゥ―と息を吐く。
「これで―――」
「終わりと思ったか!」
「!?」
突如、ケリーが激しく燃え上がった。
レイジは距離を取り、双剣を構える。
「〔炎魔神化〕か」
ケリーの身体は漆黒の外殻に覆われており、頭から赤熱状態の二本の角を生やしていた。
マグマのように赤く輝く両腕と両脚。
腰から生えた長い尻尾。
背中と肩から噴き出す炎。
炎の魔陣と化したケリーは凶悪な笑みを浮かべる。
「今度はこっちの番だ」
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本当にすみません。