レイジ・ペンドラゴン2
「レイジくん……あれはダメだよ」
「すいません」
今、レイジはアーサーに注意されていた。
記者の質問に対してレイジは『自分は死神』と答えたことにアーサーは怒っているのだ。
「あの記者も悪いけど死神って……確かに『白銀の死神騎士』って呼ばれているけど……王族が言うことじゃないよ?」
「はい」
「はぁ……もういいや。次は僕の夫と娘、そして円卓の騎士達にあってもらう」
「分かりました」
レイジはアーサーと共に広い部屋にやってきた。
部屋にはメロラと竜人族の男、そして十人ぐらいの女性竜人族がいた。
「やぁ、初めまして…かな。僕はギネヴィア。君のお父さんかな」
そう言ってレイジに近付いたのは、金色の髪を伸ばした竜人族の男—――ギネヴィア。
エメラルドのように美しい緑色の瞳。
優しげな目。
そして身体は細く、少し痩せている。
「初めましてギネヴィア……お父様。今日からよろしくお願いします」
「よろしく。それにしても君も大変だね。突然、アーサーの息子になって。僕もそうだった」
「そうなのですか?」
「ああ。僕もアーサーに一目惚れされてから、王族になって……夜の相手を毎日」
「……」
レイジはギネヴィアを哀れに思った。
そして理解した。この人は自分と同類だと。
「今日からボクの弟になるんだね。レイジ」
メロラは嬉しそうにレイジに抱き付く。
レイジより二つ年上のメロラは姉という立場になる。
「そうだね…メロラ…姉様」
「嬉しいな……ずっと弟が欲しかったの~!」
弟ができて喜んでいるメロラを見て、レイジは苦笑する。
「レイジ王子。こうしてお会いできて…光栄です」
そう言ってレイジに頭を下げたのは、一人の女性竜人族。
他の女性竜人族達も頭を下げる。
全員、とても鍛えられた肉体を持っており、美形。
「私は円卓の騎士の一人、ランスロット。ウロボロス様にはお世話になりました」
「そうなんですか。実は俺、ウロボロス……父のことをよく知らないので今度教えてもらってもいいですか?」
「喜んで」
◁◆◇◆◇◆◇◆▷
アーサーの夫と娘、円卓の騎士達と挨拶をした後、レイジを歓迎するパーティーが行われた。
レイジは豪華な服を着て、貴族の竜人族と会話をしていた。
前世では地位の高い人とよく話していたため、うまく会話は出来ているのだが。
「レイジ王子。私の娘と婚約してくれませんか」
「いえいえ私の子と」
「いえ、私の子を」
多くの貴族たちが自分の娘と婚約させようとしていた。
(まあ俺と結婚させたいというのは分かるかな)
レイジは竜人族の王族。
つまりレイジと結婚すれば王族とつながりがもてるということ。
そして何よりレイジは邪神教の教皇を倒し、邪雲を消したという功績がある。
無視する方が難しい。
(でも婚約か……別にいいんだけどな~)
レイジも男だ。
可愛い女と付き合いたいという気持ちはある。
だが同時に結婚や恋人は別にいいやという気持ちも嘘ではなかった。
(どうしよう……どう断ろう)
レイジが考えていた時、
パリィィィィン!!
突然全ての窓が割れ、何者かが侵入してきた。
その者達は黒いローブを羽織っており、首には赤い十字架が刺さった黒い骸骨のペンダントをぶら下げていた。
「あれは……邪神教!?」
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