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最凶の死神と最強の竜人族3

「エクストラスキル〔竜神化(ドラゴンオブドラゴン)〕」


 アーサーがスキルの名を告げた。

 直後、アーサーが白く輝き出した。

 レイジは後ろに数メートル下がり、舌打ちする。


「クソ……止められなかったか」


 スキルを発動させたアーサー。

 彼女の三本の角が長く伸び、翼が巨大化した。

 竜の如き威圧感と神の如き神々しさを感じさせた。


「まさに竜の神だな」


 レイジは一筋の汗を流す。

 エクストラスキル〔竜神化〕。

 それはアーサーが唯一持っているスキルであり、世界最強クラスのスキルでもある。

 効果は身体能力と戦闘技術を強化するといういたってシンプルなもの。

 だが性能は神クラス。

 かつてアーサーは地球に落下してくる巨大隕石をエクストラスキル〔竜神化〕の力で破壊したのだ。


「まさかそのスキルを使ってくるなんて……光栄だね」

「そう言ってくれると嬉しいよ」

「だが勝つのは……俺だ」


 レイジはスキルを発動する。


「スキル〔多重分身(たじゅうぶんしん)〕!」


 なにもないところからレイジの分身が無数に出現。

 その数……千人。


「こっちは数で押し切る!」


 レイジの分身達は一斉にアーサーに襲い掛かった。

 しかし、


「無駄だよ」


 アーサーは大剣を軽く振るった直後、レイジの分身全てが真っ二つにわかれ、消滅した。

 千人の分身を一瞬で倒したアーサーにレイジは戦慄する。


「くっ!なら……化物を召喚するまで!」


 レイジは殺してきた魔獣の女神達を召喚しようとした。

 

 だが……なにも起こらなかった。


「な、なんで!?」

「それは君の神魔体質が変わったからだよ」

「!!」


 なにも分からないレイジに、アーサーは教える。


「君の神魔体質は殺した魔獣や人間を召喚し、手足のように操るものだった。だけど竜王になったことで無限に神力と魔力を生み出す神魔体質へと変わった」

「そんな……」

「スキルと違って、神魔体質を複数持つなんてできないんだよ」


 アーサーの言葉にレイジは驚く。

 無限の魔力と神力を手に入れたかと思えば、必殺技でもある死者召喚がなくなっているとは思わなかったレイジ。

 彼は焦った。

 そして予想してしまう。


 自分が敗北する未来を。


「……負けられないんだよ」


 赤い瞳と青い瞳を怪しく輝かせて、レイジはアーサーを睨む。


「負けるわけにはいかないんだよ!!」


 レイジは無数の強化系スキルを発動。

 己の肉体を強化した彼は地面を強く蹴り、アーサーに突撃する。


「真化!」


 レイジがそう言った直後、双剣〘陽月〙の刃が一回り大きくなり、血管のような赤いラインが浮かび上がる。


「ハアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!」


 真化した双剣を振るい、レイジは超高速連撃を放つ。

 しかしアーサーは涼しい顔で彼の連撃を大剣で防ぐ。

 そして太長い尻尾を振るい、レイジの腹を殴る。


「ぐはっ!」


 腹に強い衝撃を受けたレイジは全ての空気を口から吐き出し、吹き飛ぶ。

 吹き飛んだレイジは壁に激突し、両膝を地面に付ける。

 両手から双剣〘陽月〙を落し、何度も咳をする。

 オーバースキル〔紅蓮鬼神化〕も強制解除され、レイジは元の姿に戻った。


「君は強い……とてもね。だけど今の僕には勝てないよ」


 アーサーはゆっくり歩きながらレイジに近付く。


「君の……負けだ」

「……そう…だな」


 レイジは俯きながら、口を動かす。


「その通りだ。今のあなたに勝つなんて……不可能だ」

「なら僕の」

「だけど―――」




「俺はまだ……諦めない」


 レイジはゆっくりと立ち上がり、アーサーを睨む。

 彼の瞳には……絶対に勝利するという強い意志が宿っていた。


「……どうやって僕に勝つつもり?」

「目には目を。歯には歯を。そして……王には王だ」

「?どういう」

「織田信長って……知ってるか?」

「……日本の魔王だったけ?」

「そう。あと少しで天下を取れるところだった最悪の魔王。そんな織田信長の異名はなんて言う?」

「第六天魔王……だったかな」


 レイジは不敵な笑みを浮かべながら、告げる。


「俺は……アーサー王……あなたに勝つために魔王になる」


 レイジは大きく息を吸い、叫ぶ。新たなスキルの名を。


「ディザスタースキル〔第六天魔王(だいろくてんまおう)〕!!」


 次の瞬間、レイジの身体が黒く燃え上がった。

 アーサーは距離を取り、大剣を握り締める右手をカタカタと震わせる。


「この感じ……ちょっとやばいかも」


 激しく燃える死神。

 彼の銀色の髪が黒く染まり、彼の身体が黒い甲冑に覆われる。

 右手から黒い刀が現れ、左手から黒い火縄銃が現れる。

 そして黒い炎が収まると、甲冑の上に禍々しい陣羽織が生み出された。

 髪も甲冑も陣羽織も武器も全て黒く……そして禍々しい。まさに……魔王。

 アーサーはゴクリと唾を呑み込み、汗を流す。


「久しぶりだよ……僕が恐怖を覚えるの」


 レイジはゆっくりと刀と火縄銃を構える。


「さぁ……調理開始だ」

 読んでくれてありがとうございます。

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