最凶の死神と最強の竜人族
翌日。
戦闘服を着たレイジは大人の姿で、巨大な闘技場の中心に立っていた。
闘技場の観客席にはゼウス、ハデス、ポセイドン、アテナ、ルルアの五人の女神とメロラの姿が。
(まさかアーサー王と戦うことになるとはな)
そんなことを思いながら青空を眺めるレイジ。
邪神教の教皇ジャンヌ・ダルクと戦った後、最強の竜人族の王アーサー・ペンドラゴンが相手とは彼は思ってもみなかった。
(正直、勝てる気しないんだよな。アニメでもボコボコにやられてたし)
アニメ『クイーン・オブ・クイーン』ではラスボスであるレイジが殺した魔獣や魔導騎士を召喚し、竜人族の国を滅ぼそうとした。
だがアーサーは一人で死の軍隊を全て倒し、レイジに致命傷を負わせた。
真正面からでは勝てないと分かったレイジはスキルで不治の病を蔓延させ、アーサーや竜人族達を殺したのだ。
(勝てる気はしないが……負けるつもりはない)
家族のもとに帰るために、レイジはアーサーを倒す。
そのために強力なスキルを生み出した。
(それにアーサーはきっと拳で戦うはず)
アニメではレイジと戦う時、アーサーは魔装を使わず、拳のみで戦った。
強者と認めた者にしか、アーサーは剣や魔装を使わない。
(こっちはフル装備で行くんだ。勝つ可能性はある)
レイジがそう思った時、
「やぁ……またせたね」
アーサーの声が聞こえた。
振り返ったレイジはアーサーを見て、言葉を失う。
「……え?」
アーサーは白い鎧を纏っており、頭には黄金の王冠を乗せている。
しかも両手の全ての指には色々な指輪をつけており、右手には黄金に輝く両刃の大剣が装備されていた。
「フル…装備だと!?」
アーサーは鎧型魔装といくつもの神話級魔道具を装備していた。
最もレイジが驚いたのは四種の龍神器と呼ばれる神話級魔道具――〘龍神聖剣〙を装備していたことだ。
「君はあのジャンヌに勝った人間だからね。本気で行かせてもらうよ」
どうやらアーサーはレイジを警戒し、準備をしたようだ。
「まったく……最悪だな」
アーサーがフル装備できたことで、レイジの勝率は一気に下がった。
だが……まだ勝てないわけではない。
「こっちも本気で行かせてもらう」
スキル〔装備装着〕で双剣を〘陽月〙を両手に装備し、構える。
そしてレイジは、
「スキル〔風雅独走〕」
銀色の風を纏い、音速を超えた速度でアーサーの背後に移動。
身体を回転させ、彼は双剣を振るう。
迫りくる双剣撃をアーサーは大剣で防ぐ。
金属音が鳴り響き、火花が飛び散る。
「へぇ~……速いね。一瞬、見えなかったよ」
「そいつはどうも!!」
レイジは双剣を素早く振るい、怒涛の連撃を繰り出す。
嵐の如き連撃をアーサーは大剣で防ぎ、受け流す。
しかし一撃一撃が速く、重いせいでアーサーは少しずつ後ろに下がっていく。
「ユニークスキル〔不動明王〕」
レイジがスキル名を告げると、双剣がオレンジ色に光り出した。
オレンジ色に輝く双剣をレイジは力強く振り下ろす。
躱せないと理解したアーサーは大剣で双剣を防いだ。
次の瞬間、大きな衝撃がアーサーの両手に伝わり、彼女の足が地面に沈む。
「くっ」
アーサーは僅かに顔を歪める。
そんな彼女の腹にレイジは膝蹴りを叩き込む。
しかし彼の膝蹴りはアーサーの左手で受け止められていた。
「流石は『白銀の死神騎士』。強いね」
「そいつはどうも……だけど、これで終わりではない。オーバースキル〔紅蓮鬼神化〕」
新たなスキルを発動した直後、レイジの身体が紅色に燃え上がった。
危険を感じたアーサー王は距離を取る。
「その姿は……」
炎が収まるとレイジは紅色の甲冑を纏っており、額から二本の角を生やしていた。
その姿はまるで……鬼。
「さぁ……俺の新スキルはまだまだあるぞ」
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