竜人族の王VS女神の女王~
(おいおいおい……どうすんだよこれ!?)
光闇レイジはゴクリと唾を呑み込み、頬から一筋の汗を流す。
今、彼の視線の先では二人の女が睨み合っていた。
一人は竜人族の王にして、世界最強の魔導騎士—――アーサー・ペンドラゴン。
もう一人は女神の女王にして、女神最強―――ゼウス。
アーサーとゼウスは顔がぶつかりそうなほど近づき、睨み合っていた。
彼女達から放たれる威圧によって壁や床が揺れる。
「まさか城に乗り込んでくるとは思わなかったよ。流石は女神の女王ゼウス様だね」
「そっちこそレイジを誘拐するなんて……竜人族の王様も派手な事をするわね。……どうしてレイジを誘拐したの?まさか」
ゼウスは目を細める。
「レイジを逆レイプするの!?」
「お前はなに言ってんだ!」
ゼウスの発言にレイジは思わずツッコミを入れる。
「失礼だね、君。逆レイプなんてしないよ、逆レイプするのはギネヴィアだけだ!!」
「あんたもなにを言ってんだよ!!」
アーサーの発言にレイジはツッコミを入れる。
「ねぇレイジ。逆レイプってなに?」
曇りなき目で尋ねてくるメロラに、レイジは何も答えることができなかった。
「とにかく……レイジは連れて帰る」
「それは駄目だね。連れて帰るかどうかは明日、決闘で決める」
「決闘?どういうこと、レイジ?」
レイジはゼウス達に全て話した。
ウロボロスのこと。
自分がドラゴンの王になったこと。
そしてアーサーと決闘の約束をしたこと。
「というわけなんだ」
「なるほど……話は分かったわ。なら私達も」
ゼウスがレイジの決闘に参加しようと考えた。
だが、
「ダメだよ。これは僕とレイジの決闘。君たちの参加は認めない」
「……いいわ。なら一つだけお願いがあるの」
「なに?」
「もしレイジが負けたら、アタシ達もここにおいて頂戴」
「へぇ」
ゼウスの言葉に他の四女神達は驚く。
「ゼウス!ご主人様が負けると言いたいのですか!」
「負ける可能性は高いわ、ハデス姉様。確かにレイジは強いけど、このアーサーっていう竜人族も強い」
「そんな」
光闇レイジの強さは化物クラス。
その気になれば国などすぐに滅ぼすことができる。
だがそれはアーサーも同じ。
彼女に勝てる者など指で数えるぐらいしかいない。
そしてアーサーは……レイジより強い。
「いいよ。君たちもここにおいてあげる」
そう言ってアーサーは背を向ける。
「君たちの部屋を用意しよう。それと…レイジくんには別の部屋を用意する。……壁を破壊して、城に侵入してきたのは不問にするよ」
アーサーは部屋から出て行った。
残されたレイジ達は顔を見合わせる。
「レイジ……もし負けたらッて言ったけど……アタシはレイジが勝つの信じてるから」
「分かってるよ、ゼウス。お前なりに俺のことを考えて言ったってことくらい。それに……負ける可能性が高いけど、勝のは不可能じゃない」
レイジは笑みを浮かべながら、親指を立てる。
「絶対に勝ってみせるよ」
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