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死神の一撃

 いつ崩れてもおかしくない廃城の中で、純白の機械鎧(パワードスーツ)を纏ったレイジと黒い杖を持ったジャンヌが激しい戦闘をしていた。


「これはどうでしょう」


 ジャンヌは〘龍神の女王杖〙を軽く振るうと、いくつもの黒い魔法陣が出現。

 無数の魔法陣から漆黒の光線が放たれる。

 高速で襲ってくる無数の死の光線をレイジは踊るように躱し、双剣で受け流す。

 超高速で超絶な戦いをする死神と邪神。

 二人の戦いの余波で壁や床、天井など崩壊していく。


(やっぱりあの杖……厄介だな)


 杖型魔道具〘龍神の女王杖〙。

 無詠唱で魔法を使うことができる上に、魔法の性能を何十倍……何百倍も強化する杖。

 レイジの〘陽月〙が速度特化の魔道具なら、〘龍神の女王杖〙は魔法特化。

 ジャンヌは邪神属性の魔法しか使えないが、それでも強い。


「少し……無理をするか」


 このままではやられるのは自分だと気づいたレイジは、ジャンヌに突撃する。

 背中に搭載している翼型推進器から炎を噴射し、加速。

 超高速で突撃してくる銀髪の死神。


「いい……本当にいいですね。こちらもとっておきを出しましょう」


 ジャンヌはいくつもの黒い魔法陣を出現させ、重ねる。

 重なった魔法陣からとても醜くおぞましい怪物が現れる。

 怪物は雄叫びを上げ、レイジに襲い掛かる。


「その生物は最高位の女神をも簡単に殺す魔法生物です。あなたにその子を殺すことは―――」


 ジャンヌが笑みを浮かべながら喋っている途中、


「邪魔だ」


 レイジは双剣を素早く振るい、醜い怪物を細切れにする。

 それを見てジャンヌは……笑みを深める。


「残念でしたね」


 レイジの足元に大きな黒い魔法陣が出現。

 その魔法陣が輝き出した直後、大爆発が巻き起こった。

 普通の人なら死んでいるだろう。

 しかし、


「この程度で俺を止められると思ったか!」


 爆発の中からレイジが飛び出す。

 レイジはジャンヌの懐に入り、双剣を振るう。

〘陽月〙の斬撃は彼女の武器―――〘龍神の女王杖〙を破壊する。


「それでこそ光闇レイジです」


 ジャンヌは右手から小さな黒い魔法陣を出現させる。


「ですが……私の方が一枚上手です」


 魔法陣から黒い槍が勢いよく飛び出し、レイジの双剣を弾き飛ばす。


「私の勝ちです」


 武器を失ったレイジの胸にジャンヌが触れようとした。

 その時—――ジャンヌの周りに黒い穴が出現。

 黒い穴から魔獣の女神であるゲームとハングリー、マネーが現れる。


「!」

「忘れたか?俺の神魔体質は殺した奴を召喚し、操る能力だ」


 あの世から蘇った三人の魔獣の女神は、ジャンヌの手足などを拘束する。


「この程度」

「ああ……その程度では数秒しかお前の動きを拘束することはできない。だけどその数秒で……お前の力を封じることはできる」


 レイジは右手から虹色に輝く鍵を生み出す。

 その鍵を見て、ジャンヌは悪寒を感じた。


「やめなさい!」


 拘束していた魔獣の女神達を魔法で消し飛ばし、ジャンヌはレイジから鍵を奪おうとした。

 だがそれよりも速く、レイジは虹色の鍵をジャンヌの胸に突き刺す。

 そして彼は思いっきり鍵を回した。

 直後、ジャンヌが虹色に輝き出す。

 やがて光が収まると、ジャンヌは片膝を床につけた。


「な……何をしたのですか?」

「お前の全ての属性適正LVを1にして、魔法やスキルを封じたんだ」

「なっ!」


 そんなまさかと思い、ジャンヌは魔法やスキルを使おうとした。しかしなにも起きなかった。


「エクストラスキル〔絶対封印の鍵〕。あらゆる力を完全に封じる封印最強スキル」

「そんな……スキルが」

「ジャンヌ……俺は…準備し……作戦を立てた。お前に勝つために」


 レイジの言う通り、彼は多くのことを考え…準備をした。

 エクストラスキル〔邪雲消滅〕で邪雲を消し去り、ジャンヌの神魔体質を無意味なものにした。

 エクストラスキル〔神兎・天星〕でジャンヌを守る絶対防御の盾を破壊。

 ジャンヌとクトゥルフを分断。

 真化した〘陽月〙で〘龍神の女王杖〙を破壊。

 そして……エクストラスキル〘絶対封印の鍵〙でジャンヌを弱体化。


 全て……レイジが考えたもの。


「ジャンヌ…今のお前はただの人間だ。なんの力もない女だ」


 レイジは双剣〘陽月〙を拾い、刃をジャンヌに向ける。


「終わりだ」


 レイジが双剣でジャンヌの首を斬ろうとしたその時、壁が大きな音を立てて崩壊した。

 なにごとかと思い、視線を向けると、そこにいたのは傷だらけのクトゥルフだった。


「クトゥルフ!なぜここに!?」

「ジャンヌに手は……出させないわよ!」


 クトゥルフは触手の腕でレイジを強く殴る。

 殴り飛ばされたレイジは壁にめり込む。


「……クソ、油断した」


 レイジは壁から抜け出し、クトゥルフを睨む。


「大丈夫……ジャンヌ?」

「助かりました…クトゥルフ」


 ジャンヌはゆっくりと立ち上がり、クトゥルフの隣に移動する。


「クトゥルフ……その怪我」

「大丈夫よ、これくらい」

「ですが……」

「ジャンヌ……私のことは気にしなくていいわ。あなたは……あなたがしたいことをしなさい」

「……はい、分かりました」


 ジャンヌはクトゥルフの右手を握る。


「勝ちましょう……クトゥルフ」

「ええ……ジャンヌ」


 二人は心を一つにして、告げる。


「「完全神装」」


 次の瞬間、黒い衝撃波が発生し、廃城が崩壊した。

 読んでくれてありがとうございます。

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