追い詰められる邪神
「ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「クッ!この!この!!」
クトゥルフに怒涛の攻撃を繰り出す雷神ルルア。
彼女は稲妻の如き速さで刀を振るい、拳銃で弾丸を撃つ。
(は、速すぎる!)
斬撃と銃撃をなんとか二つの斧で防ぎ、躱すクトゥルフ。
だが全てを防ぐことができず、刃と弾丸によって彼女の肌は傷つき、血が流れる。
「いいかげんに……離れなさいよ!」
クトゥルフは無数の触手を召喚。
触手達はルルアに襲い掛かる。
黒い触手がルルアに触れようとした直前、浮遊する十本の雷剣が動き出す。
十本の雷剣は目に見えない速さで、全ての触手を細切れにする。
「……すごい」
クトゥルフに猛攻するルルアを見て、アテナは驚いた。
まさかルルアがクトゥルフを追い詰めるとは、彼女は思わなかったのだ。
「確かに凄いですね」
「ああ。素晴らしい」
ハデスもポセイドンもルルアの戦いを称賛する。
「なんなのよ……本当にあなたは!」
クトゥルフはルルアを脅威とは思っていなかった。
最も警戒するのは最高位の女神であるアテナ、ハデス、ポセイドンの三人の女神だと……そう思っていた。
だが、
(私の天敵は……この女神だわ!)
最高位の女神以上に……ルルアは脅威の存在だった。
「ハァ!」
「しまっ!」
ルルアは雷を纏った刀でクトゥルフの左腕を切断。
片腕を失った彼女は顔を歪める。
「う、腕が!」
「ハッカーを舐めないでください。クトゥルフ!」
ルルアは拳銃の銃口をクトゥルフに向け、引き金を引く。
発砲音が鳴り響き、雷を纏った弾丸がクトゥルフの右脚を吹き飛ばす。
「ガアァァァァァァァァァァ!」
「終わりです」
ルルアが冷たくそう言った時、浮遊する十本の雷剣がクトゥルフの身体に突き刺さった。
クトゥルフは口から血を吐き出す。
(…ダメ…私が死んだら……あの子が……)
人間と女神との契約は、ただの契約ではない。
どちらか死ねば、もう片方は死ぬ。
まさに一蓮托生。
もしクトゥルフが死ねば、ジャンヌも死ぬだろう。
「し…ねな……い…」
クトゥルフは目から血を流しながら、叫ぶ。
「あの子のためにも…死ねないのよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
直後、クトゥルフの身体から禍々しい黒いオーラが放たれた。
切断された左腕と吹き飛ばされて失った右脚から黒い触手が生える。
それだけではない。クトゥルの身体に突き刺さっていた十本の雷剣がドロドロに溶けて、蒸発した。
「嘘でしょ!?」
危険を感じ取ったルルアはクトゥルフから距離を取る。
「アアアァァァァァァァ!!」
クトゥルフは触手の左腕で地面を思いっきり殴った。
轟音が鳴り響き、地面が大きく揺れ、砂埃が舞い上がる。
やがて砂埃が消えると、
「い、いない!?」
いつの間にかクトゥルフは姿を消していた。
「まさか……ジャンヌのところに!」
ルルアがそう言った時、廃城が大きな音を立てて崩れ始める。
「マスター!」
ルルアは急いで崩壊する廃城に向かった。
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