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クトゥルフと四人の女神

 あらゆる攻撃を防ぐ絶対防御の不可視の盾。

 それを破壊し、レイジはジャンヌの顔を蹴った。

 死神の蹴撃を受けた彼女は、廃城の方まで吹き飛ぶ。


「ジャンヌ!」


 まさか最強の盾を破壊して、ジャンヌを蹴り飛ばすとは思わなかったクトゥルフは驚愕する。


(この子……想像以上に危険だわ!)


 クトゥルフは両手から二つの黒い斧を生み出し、レイジに攻撃を仕掛ける。

 だがその攻撃が当たることはなかった。


「お前の相手は俺じゃない」


 レイジがそう言った時、黒と金の髪を伸ばした女神が現れた。

 その女神は右手に握り締めた刀で、クトゥルフの攻撃を防ぐ。

 斧と刀が衝突し、大きな金属音が鳴り響く。


「あなた!邪魔しないで!」

「そういうわけにはいかないんですよ」


 黒と金の髪の女神は左手に装備していた拳銃から弾丸を放つ。

 稲妻を纏った弾丸。

 それを紙一重で躱し、クトゥルフは後ろに下がる。


「あなた……誰よ」

「私はルルア。そして……あなたの上にいるのはアテナです」

「!!」


 クトゥルフは慌てて上を見て、気付く。自分の真上に剣と盾を装備した紫髪の女神がいる事に。


「気付くのが遅いよ!」


 そう言って紫髪の女神—――アテナは落下しながら剣を振り下ろした。

 迫りくる剣撃をクトゥルフは二つの斧で防ぐ。

 剣と斧がぶつかり、火花が飛び散る。


「なぜ生きているの、アテナ!」

「久しぶりだね、クトゥルフ。ずいぶん姿が変わったね!」


 アテナは盾でクトゥルフの腹を殴った。

 大きな衝撃音が鳴り響き、彼女の口から血が流れる。

 だがクトゥルフは倒れることはなかった。


「よくもやったわね!」


 クトゥルフはアテナの顔に向かって膝蹴りを放つ。

 高速でやってくる膝蹴りをアテナは盾で防ぐ。


「すごい膝蹴りだね。おかげで……」

「隙ができたな」


 アテナの背後から軍服を着た蒼髪の女神—――ポセイドンが現れる。


「貫け、〘トライデント〙」


 ポセイドンは三又の槍から鋭い刺突を放つ。

 神速の槍撃はクトゥルフの横腹を貫く。


「ガアァ!」


 激痛で顔を歪めるクトゥルフ。

 彼女は反撃しようとした。

 その時、クトゥルフは全身が凍るような悪寒を感じた。


(この気配は!)


 クトゥルフは振り返った。悪寒の正体を知るために。


「あなたは……!」


 クトゥルフは目を見開いた。

 今、彼女の瞳に映っていたのは、長い黒髪を伸ばした女神。

 黒曜石のような瞳に、美しい黒いドレス姿。


 知っている。クトゥルフは……彼女の名を。


「生と死の女神……ハデス!」

「久しぶりですね。絶望と破滅の女神クトゥルフ」

「なぜ…生きて……というかなぜこの人間界に」

「ご主人様のおかげで復活できたのです。さて……クトゥルフ、あなたに質問です。なぜ……世界を滅ぼそうとしているのです」

「……」

「あなたは絶望と破滅の女神を司る女神ではありましたが……誰よりも優しい女神ではありませんでしたか?そんなあなたがなぜ……」

「……知ってしまったからよ、あの子の絶望を……苦しみを」

「クトゥルフ」

「私はあの子を支えるって決めたの……あの日から」

「……何を言っても無駄のようですね。なら……戦いましょう。私達四人と」


 ハデスがそう言うと、ルルア、アテナ、ポセイドンの三人の女神がクトゥルフに襲い掛かる。


「そう……なら、全力で相手になってあげるわ!」


 クトゥルフは禍々しい黒いオーラを身体から放ち、二つの斧を構える。


「かかってきなさい。最悪の女神の恐ろしさを教えてあげる!」

 読んでくれてありがとうございます。

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