死神の蹴撃
「始めようか」
レイジは漆黒の大鎌を生み出し、ジャンヌの首に向かって振るう。
迫りくる死神の鎌をジャンヌは二本の指で止める。
「速いですね。ですが…」
「まだ終わりじゃないぞ」
レイジがそう言った時、鎌から黒い煙が発生した。
その煙はジャンヌとクトゥルフを包み込む。
「煙幕ですか……」
ジャンヌは軽く腕を振るい、煙を吹き飛ばす。
しかしジャンヌ達の目の前からレイジは姿を消していた。
「なるほど……かくれんぼですか」
「違うみたいよ。ジャンヌ」
クトゥルフはそう言ってある方向に指を指した。
彼女が指を指した方向には、レイジが立っていた。
だがさっきまでのレイジとは姿が違う。
「へぇ~……女の子になったんですか」
今、レイジは男から女へと姿を変えていた。
「……あんたを倒すにはこれが一番だからな」
レイジはゆっくりと右手を上に向ける。
「俺はあんたを殺す。そのために多くのスキルを生み出した」
レイジは告げる。女神たちの力で生み出した新たなスキルの名を。
「エクストラスキル〔邪雲消滅〕」
レイジの右手から銀色の光線が放たれ、空を覆う漆黒の雲を貫いた。
次の瞬間、邪雲が消し飛んだ。
「これは……」
ジャンヌとクトゥルフは目を大きく見開いた。
邪雲が消えた青空。
そして眩しい太陽。
それを見て、彼女達は驚きを隠せなかった。
「あんたの神魔体質は邪雲を吸収して強くなるというやつだからな……だから消したよ。邪雲を……この世から……」
アニメ『クイーン・オブ・クイーン』の主人公でもできなかったことをレイジは実行した。
『白銀の死神騎士』は邪神を殺すために……邪雲を殺したのだ。
誰もができなかったことをやってしまったレイジに、ジャンヌは驚き……喜びを覚える。
「素晴らしいです。その絶大な力……ますます欲しくなりましたよ。あなたのことを」
「欲しければ俺に勝ってみせろ。ジャンヌ・ダルク」
レイジはいくつものスキルで己を強化し、ジャンヌに突撃。
高速でやってくる銀髪の死神。
彼はジャンヌに向かって拳を放った。
しかしレイジの拳は届くことはなかった。
「無駄ですよ」
大きな打撃音が鳴り響き、レイジの拳はジャンヌの顔に当たる数ミリのところで止まった。
「まるで見えない壁を殴ったような感覚でしょう?」
「エクストラスキル〔邪神の障壁〕だろう?」
「あら、知っていたんですか?」
「ああ」
エクストラスキル〔邪神の障壁〕。
ジャンヌを守る見えない絶対防御の盾。
どんな攻撃をも防ぐ最強の防御系スキル。
〔邪神の障壁〕を破ることができるのは……主人公とその仲間たちのみ。
……のはずだった。
「だから……準備をした」
レイジは唱える。
「エクストラスキル〔神兎・天星〕」
レイジの両脚が白く輝く脚甲に覆われる。
脚甲を装備した脚で、彼は蹴りを放つ。
「無駄ですよ」
ジャンヌは大したことないと思っていた。
しかしレイジの素早く、そして重い蹴りはジャンヌを守る見えない盾を破壊。
ガラスが割れたような甲高い音が鳴り響く。
「うそ……」
「俺は死神だ。あんたを殺すまで……」
レイジは音速を超えた速度でジャンヌの顔に蹴撃を叩き込む。
「俺は止まらない」
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