怖いくらいどこまでも
「えっとですね、まずは何からお話をするべきか………そうですね、アリス達はそれなりに前からもう、あの村に着いてたんです。………あれ??」
「ん、どうしたの?」
喋りだしたと思ったら、アリスはすぐになにかが引っかかるようで、首を傾げて考え込む。
「んー……何となく勘でこっちに来たんですけど……よく考えたら、なんでルナちゃん達こっちから来たんでしょうか??元々はアリス達と同じ場所から出発した上に、あの本をもった人もいるはずなのに………。それがどうして西側から世界統括団体のお姉さんと一緒に??」
「今それ言う?」
てっきり、何らかの方法でわたしの身に起きたことをある程度知ったのかと思った。だからその辺のことを何も言わずに話が進んだものだと思ったけど、素で忘れてたの?
「……なんでですか??」
「うーん……ちょっと説明が難しくて……ユイは多分、本来の目的の為に別の場所にいて……わたしがにしにいるのは…………あ」
よく考えたら、別にもう隠す意味無くない?大体、なんでわたし隠そうとしてたんだっけ………いや、まあいいや。せっかくだし話しちゃおうか。
「いやー、実はね。…………」
とりあえず足はとめずに、わたしがどこで何をしてたのかを、2人に話すことにした。さすがに、イリスとノルンのことは隠すよ。
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「なんと、アリス達の知らない間に四天王さんをまた1人やっつけたんですか!ルナちゃん凄いです!」
「鏡の国………奇妙な力もあるものね………。」
「わたしもびっくりした。で、そこから帰ってきたら西の方にいて、その後すぐにソフィさんと出会ったわけ。」
マリーのことも話したけど、思い出すとまた悲しくなる。
「………じゃあ改めて、アリスの話聞かせて。スティア、どうしたの?」
「はい。ルナちゃんが鏡の国に行ってる間に、アリス達は村で過ごしていました。まあまあそれなりの時間があって、暇だから色々してたんです。その中で、スティアちゃんが『錬金術』で村の人の頼みを少しだけきいてあげた時があって、それから………あ、」
「ん?……ああ」
「あら、意外と近かったわね………」
わたしの話が長かったのか、アリスが話初めてすぐ、村に着いてしまった。海のすぐ側なのに、村の両側は山?丘?みたいになっていて、すぐ近くに来るまでそこに村があるってことに気が付かない。
「着いちゃいましたね………あはは」
村の様子を見るに、物理的になにかヤバいって感じではなさそう。すぐ向こう側には海が見えて、家はまばらだけど過疎って感じでもない。いい雰囲気。
村の入口辺に来ると、見張り?みたいな男の人がこちらにすぐ気が付き、声をかけてきた。
「アリスさん、ご無事でなによりです。……そちらの方が?………世界統括団体の方までいるなんて、流石は……」
「あ、あの…少し違いますよ!こっちのツインテールの女の子がルナちゃん、元々お友達だった人……それで、こちらのお姉さんはソフィさん、ルナちゃんのお友達で、アリスとは初対面なんです。でも、もうお友達………です。多分、恐らく…………はい。」
「はじめまして、世界統括団体調査隊兼研究チームのソフィです。」
「あ、ルナです。どうも……」
ソフィさんにならって、わたしもとりあえず名乗る。それにしても、この人……なんでアリスに対してこんなに低姿勢?
「自分はこの『ミオ』の村の見張りを務めている者です。アリスさんとスティア様のお知り合いのようで……どうぞ、今後もご自由にお通りください。」
「はぁ……?」
スティア様??ますます訳わかんない。
とは言っても、村の入口でいつまでも話してたら邪魔だから、スティアが今住んでいるっていう家に向かうことにした。アリスの案内で、広くない村の中を歩き、直ぐにそこまでたどり着く。村を歩く間、すれ違う人がアリスに嬉しそうに声をかけてたのが、また気になる。
「ここなんです……」
アリスが示す、その場所は………
「でか………」
そう、他の家に比べて、一回り……よりもっと大きくて、立派な家。
「スティアちゃん……何者なのよ………」
「じゃ、入りますよ。」
アリスがドアを開け、わたし達も一緒に入る。入ってすぐの部屋は、錬金術をする部屋になっていて、大きい釜やよくわかんない材料が置いてある。その釜の前に、スティアが立っていた。スティア自身には特に変わった様子はない………あるとすれば、着てる服がすこし綺麗になったかな?
「スティアちゃーん、来ましたよー」
「なによ、別にいつも来てるじゃな………ってあぁ!!ルナ!!あんた今までどこ行ってたのよ!?来るの遅すぎ!」
わたしに気がついた途端、スティアは声を荒らげてわたしに近づいてくる。
「別行動して、アリスとここに来てかなり待ってたのよ!?しかもやっと現れたと思ったらあの万物流転の観測者とかいう女もいないし、それに誰よその人??世界統括団体?なんであんたがそんな人と知り合いなわけ?」
「StayStay、ちょっと落ち着きなってスティア」
「あんたがそんなキャラじゃないことくらいは覚えてるわよ!」
「ごめんて」
「元気な子ね?」
「そうなんです、スティアちゃんはいつも元気で明るいですよ!アリスと違って」
――――――――――――――――――
「ふーん……そんなことがあったのね。まあ頑張ったんじゃない?」
とりあえず、奥の部屋で4人でテーブルを囲んで座って、まずはわたしの話からした。『どこで何してたか』これを言わないことにはスティアうるさいし。
「じゃあ今度はこっちから………なに、この状態?」
奥の部屋もなかなかな様子で、家具やらなにやらはみんな立派で、やたらと綺麗。とても1人で住むには広すぎるし、多すぎる気がする………。
「あんたが来るまでの間、暇だったわけよ。それで、何となく錬金術で村の人が欲しがってたもの作ったり、壊れたもの作ってたりしたの。海の近くだから、漁で使うものとかあるみたいなのよね。」
「そしたらですね、村の人達……スティアちゃんのこと『神の術を使う者』とか『天からの使い』だとか言って、凄い持ち上げる…というより、祀り上げた?っていうレベルで凄いんです。」
「そ、田舎の村だし他から来る人も少ないのかなんなのか知らないけど、錬金術をみんな全く知らなくて、それでこれよ。あたしがなにかする度に過剰なまでにみんな感謝して、お礼もくれて……いつの間にかこんな家まで貰って、もう半分神様みたいよ?」
スティアは嫌そうに言ってるようで、顔はすごい嬉しそう。よかったですね
「そしたら、一緒にいたアリスも、スティアちゃん程じゃないですけど、すごい扱いされちゃって……」
アリスは割と本気で困ってそうに見える。
「でも、おかしな話でもないわよね。錬金術というのは地域によってはそれこそ、神術なんて言われていたりして架空の存在と思ってる人もいるくらいなのよ。それに、スティアちゃんが作ったもの少し見させてもらったけど……これはかなりの腕じゃないと作れないわ。あながち、言い過ぎなんてこともないんじゃないかしら?」
「そ、そう………?なんかあなたみたいな人に素直に褒められると困るわね……」
まあ、勝手に動いて戦う剣とか作れるんだもんね、そりゃあ、うん。
「それで、ルナ。ディープ・アクアにある…」
「あ、それもういい。」
「は?」
「いや、いいの。アレがコレでそうなってあーなったからもういいの。ね?」(ここ本来はちゃんと説明してます)
わたしの話を聞いたスティアとアリスは、ため息をついて、そして少し笑って言う。
「まったく、何よそれ。結局どこまで行ってもあんたは邪魔者ね?」
「ルナちゃん……やっぱり…………あ、いやなんでもないですよ。」
「………?」
なに?
「で、じゃあどうすんのよ?これから何する気?」
「それについて、今からちょっと詳しく、ある程度ハッキリさせたいんだけど、いい?」
わたしは少し声を張り、みんなに宣言した。
「いいけど」
「アリスもいいですよ」
「別にいいけれど……いきなりどうしたの?」
「いや、だってもうすぐ100話じゃん?それなのに目的もよくわかんないでグダグダしてるのやだなーって。思わない?話に纏まりがない。」
「そ、そうですか」
「そんなにダラダラ続いてたのねコレ。」
「…好きにすればいいわよ。」
「じゃ、それは次回ね」