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世界に一つだけの可能性を

3割くらい寝ながら書いてしまったので誤字が多いかもしれません、きっと治します。

「やったー!やっと着いた……」


 あっつい砂漠を何とか歩き抜け、ディルベルの街まで帰ってきた。ここまで来ると、嘘みたいに暑くない。自然って不思議。


「さて……まだ早い時間だけど、出発は明日でいいかしら?今日はまた、この街に滞在するってことにしましょう。」


「ん、いいけど……なんで?」


 聞き返すると、ソフィさんは街の奥……こっちから見た奥だから、つまり入口(最初に来た方)を指さして言う。


「ほら見て、今日は行商の馬車が多く来ているわ。それに、盗賊団が居なくなったことで砂漠方面からくる人達も増えるはず…だから、今日はここで様子を見ましょう。」


「あれ、そういえば盗賊団ってどうなったの?あの後……」


「メルリアちゃんが作ったまほうの縄で縛って、世界一統括団体の犯罪対応専門の人たちが来るまであの村に置いとく……かしら?まあとりあえず、私達がなにか心配することはないと思うわよ。」


「へえ、メルリアすごーい。」


 なんか流れでここまで来ちゃったから、盗賊団がどうなったかとか全然考えてなかった。………つまり、わたしが何もしなくても何とかなってるってことね…………うん。


「それじゃ、また夜に会いましょ。今日もまた、この前と同じところに泊まるから、暗くなったらロビーに来てね。」


「はーい」


 そして、ソフィさんは人混みに紛れて行ってしまった。買い物……ねえ。わたしもなにか買うものあるかな??


 ――――――――――――――――


 店を見て回ると、たしかにソフィさんの言っていたとおり、この前はなかったようなものが沢山あって、さらに活気がある。でも人が多すぎて落ち着いて商品を見てられない………都会なれしてないとこういうことになる、と。


「そう……あんまりキョロキョロしないようにしないと……」


 こういうところに来て、露骨にキョロキョロしたり、建物を見上げてたりすると、『わたしは田舎者です』って自己紹介してるみたいでなんか恥ずかしい。だから、気をつけようね。


「………おや」


 人の多い通り、その脇の建物の隙間、ほかより少し広くなっていて通れそうな場所がある。

 何となく気になって覗いてみると、そんな狭い通路で店を出している人がいた。当然、誰にも見向きもされていない。………逆に気になる。


「……よし」


 少し怖いけど、勇気をだして近づいてみる。すると、向こうに気が付かれて、先に声をかけられてしまう。


「いらっしゃいませー」


「おぉ……どうも……」


 少し暗くて、遠くからじゃ分からなかったけど、店の人は大きめの帽子をかぶった女の人だった。行き止まりの狭い通路の壁を背に、小さいテーブルの上に商品を並べている。


「………なにこれ??」


 3つくらいしか商品は置かれていなくて、どれもほぼ同じに見える。見たことないものだし、変なかたちしてる………でも、鏡の世界で少しだけ似てるものを見たような……?…………あれだ、街の兵士が持っていた、へんな筒みたいな武器。筒の先っぽをこっちに向けて、威嚇してきていた。


「これが気になる?」


 女の人は『それ』を手に取り、わたしに見せてくる。


「…………ていうか、それしかないじゃん………」


「はは、確かにそうだね。これはね、北の地域で作られている『機構武器』って言うもののひとつだよ。名前は……まあ、みんな好きかって呼んでるかな。『銃』『ピストル』『ガン』…どれでも通じる。」


 そして、『それ』をわたしに持たせてくれた。


「わ……意外と思い………」


「まあそうね、鉄が多いし。それに中には火薬やら『弾丸』なんかも入ってて………あ、そこは触っちゃダメだよ。危ない。」


「あ、ごめんなさい…」


 わたしが『銃』のあちこちを触っていると、不意に注意された。反射的に謝ったけど、どこのことを言っていて、何が危ないのかさっぱり分からない。


「これはさ、火薬の力で中に入っている、重い金属で出来た弾丸を外にうちだす。すると、その弾丸はとんでもない勢い、そして破壊力を持って……頭なんかに当たれば、1発で人が死ぬかもね?」


「うっそ!?」


 急に怖くなって、テーブルの上に戻す。女の人はそんなわたしの様子を見て、笑いながら言う。


「ははっ、そういう反応ができるなら平気だよ………。中には、殺したくて殺したくてしょうがない相手がいて、そいつを殺すためにこれを手に入れたい……なんて人もいて。まあ私もそんな人向けに、こっそり商売してるわけで……値段も『そういうこと』。ひとつ80万ルピアだよ。」


「え、えっと……」


 笑いながらなんてことを…!?これ、わたしが関わっていい世界の話じゃないよね!?


「ああ、いきなり困るよね………。世界統括団体の決め事で、この武器は許可なく持つと処罰される。どうして剣や刀、弓矢はいいのに銃はダメか?それは簡単だね。『暗殺』……それにあまりにも適している。こんな、ポケットに入るサイズで人を殺せるなんて、怖いよね?」


「で、でも……それなら魔法は?魔法も、人を殺したり……しかも、証拠残らないし……」


 わたしは何を言っているのか。べつに人殺す気とかないからね!?


「ほー……面白いね、お嬢ちゃん。でもそれは違う。魔法ってさ、『その人の痕跡』がちゃんとある。血液にその人の情報があるのと同じ。残っている痕跡で分かっちゃう。……なんて、買う気もない女の子にこんなこと言っても意味ないよね。ほら、怪しまれないうちに帰って。もう来ないように。」


「う、うん………」


 背中を向けて、歩き出すわたしに、女の人は最後に小さく呟いた。


「それと、こんなものが必要にならない人生だといいね」


 ――――――――――――――――


 不思議な人と、ちょっと怖い話をしているうちに、結構日が長くなっていた。つまり………お腹がすいた!!お昼ご飯だ!!


「お、いい匂い……ここにしよ!」


 偶然見つけたお店。お酒も出してる店みたいだけど、わたしには関係ない。ていうか昼間だしそういうお客さんも少ないでしょ。




 ……と思って中に入ったけど、全然いる。昼間っから皆様よくお飲みで………。まあ、入ったからにはここで食べる、何より美味しそうだし!


「………やばいものが多すぎる」


 メニューを見ると、なかなか珍しいものが多い。全体的に、在来種モンスターを使ってる料理が多い……。普通、血が緑色って時点でかなり臭くてとても食べられないって言うけど、どうなの??さすがに魔界のモンスターは無い。


「まあ普通でいいかな」


 超無難に、普通の鶏肉のステーキにした。美味しそう。


 ふたり用のテーブル席に1人で座り待っていると、向かい側に知らない男の人が座ってきた。


「?」


「ここ、いいか?」


 その人はクリーム色の髪の毛を綺麗にセットしている、イケメン『風』な感じ。(ほんとにイケメンなのかどうかはわたしの感覚じゃわからないので)服も少し珍しい、テカっとしてるレザー生地。


「普通に空いてるし、なんでわざわざわたしの前?」


「あんたにお礼が言いたくてさ。」


「いや全く心当たりないけど……」


 特殊詐欺?


「でもオレには心当たりがあるわけだ。オレの妹……ソフィを盗賊団から助けてくれたんだろ?」


 男の人は席に座り、わたしに向けて軽く頭を下げた。


「………は?ソフィさん、兄弟も姉妹もいないって言ってたよ………。」


 わたしがそれを告げると、自称ソフィさんの兄、の人は苦笑いして、呆れたように言う。


「おいおい……やっぱりあいつそんなこと言ってたか……。まあしょうがないよな。あ、勘違いしないでくれ。なにも特別で重い事情があるとか、そういうのじゃない。ただ、あいつから見たオレが……あまりにも『情けない』から、他人のフリしたいんだろうな。わかるわかる。」


 腕をくみ、勝手に頷いている。


「は、はぁ?」


「まあ確かに、じゃあ今ここでオレがソフィの兄だって証明しろ、なーんて言われたらできないしな。」


「その前に、なんで盗賊団のこと知ってるの?」


 敬語使う気になれないなーこのひと。


「………いやー……オレも村の人達と一緒に捕まってた。で、助けてもらった後に村長と……勇者と一緒に少し話したんだ。んで、その時に聞いたってこと。」


「あっ………なるほど」


 そういえば、シオンがなにか言いかけてたけど…この事だった、って考えれば一応分かる。


「お、わかってくれたか。」


「まあ一応………でも、別に助けたってほどじゃあないけど……。」


「だとしても、オレからすれば立派な恩人だ。ソフィがオレのことをどう思ってるかは知らないが、少なくともオレはソフィのことは大切な妹だと思ってるしな。」


「………………」


 うーん………この人、別に普通の人………どうしてソフィさんは兄弟はいない、なんて嘘ついたんだろ?情けない、なんて言っても、隠すほどのことなの?


「お、その顔は………オレとソフィの関係が気になるってところか。いいぜ、話しても。」


「ききたい!」


「よし、ならまずは……」


 …………いつの間にかテーブルにあったお酒を飲みながら、ソフィさんのお兄さんは話し始めてくれた。




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