(今度こそ)問題解決!
「おーい!誰かいるかー!」
洞窟を進みながらまずはシオンが叫ぶ。
「いたら返事してねー!」
続いてメルリア。よく通る声。
「助けに来たわよ!」
ソフィさんも大きい声を出す。
「あーーーーー!」
わたしも!
「黙れよ。」
「ごめんって」
そんなこんなで奥まで来たけど、全く返事も来ないし見つからない。
「これほんとにここなのか?」
「盗賊団が嘘ついてなければここのはずだけど……」
「あー……疲れた。……!?」
休もうとして、壁に手を着いたらそこが奥に凹んで、そのまま岩が上にあがって、下に続く階段が出てきた。
「こんなベタなパターンある?」
自分でやっておきながら、自分で信じられない。
「………ある意味お前らしいな。」
「ルナのおかげだよ!」
「誰かいるかしらー?」
ソフィさんが階段を覗き込んで声をかけると、よく聞こえないけど人の声がした。やっぱりこの奥に………
「……悪いけど、メルリアとソフィでいってくれないか?」
「?」
「別にいいわよ………でもどうして?」
「俺は少しこいつと話したいことがある。」
シオンはわたしを指さして言う。え、え?なになに??
「おっけー!いこ、ソフィ!」
「え、ええ……そうね。」
ソフィさんは困惑しながらも、メルリアに手を引かれて階段を降りていった。
「話って、何?」
わたしがきくと、シオンはちょうどいい岩に座り、わたしを見上げて言う。
「心当たりは?」
「………うわ、待って待って。これあれの流れじゃん。」
クビにされた時と全く同じ。でももうそれは無いし……なんだろ?
「心当たり、ないか。」
「そりゃあもう。」
「なら単刀直入に言ってやるが……変なことするなよ?」
「ほえ?」
「色々なところで聞いた話によると、どうやら勇者の剣やグリモワールを集めるだけじゃダメらしくて、魔王の元に行くには他にも神器とかいう変な道具が必要らしい。……お前はそれを知ってるんだろ?」
「う、うん……」
「で、お前のことだからどうせそれを俺たちより先に集めようとしてるわけだ………そうじゃなきゃ、お前がこんな所まで旅してる理由なんてないしな。村に帰るどころか、西まで来てるなんてな。」
「…………」
シオンは睨みつけるようにわたしを見ている。
「……やめてくれ。」
「集めるなってこと?」
「そうだ。……仮に、俺たちが3つ、お前が2つそれを見つけたとしたらどうする?お互いにそれを知る手段もなく、今回みたいに偶然出会うまで意味もなくあちこち探すことになる。そんな無駄なことごめんだ。魔王のことは俺たちに任せて、お前は村で大人しくしててくれ。」
「むー!」
「なんだよその反応……」
「いや普通に考えてさ、わたしがそれ辞めちゃったらこの話終わっちゃわない?」
「お前、それはずるいだろ。」
「ずるくないし!」
シオンは立ち上がる。
「だいたいお前、何ができるんだよ。神器を探す旅するって言っても、お前は何もしないでソフィみたいな強いひとに助けて貰って守ってもらって連れて行って貰うだけだろ?そんなんお前がいなくても成り立つし、なにより危険だろ!お前一人じゃなくて他の人も巻き込んでるんだよ、迷惑だ……!」
「っ!!」
「なんだよ?」
「心配してくれてるんだ……優しい!」
「……頭ん中どうなってんだお前………」
いや、間違ってなくない?だってシオンはわたし含めて、その周りの人達のことを心配して、そう言ってくれてるんだ。たしかにわたしは何も出来ないかもしれないけど、でもだからといって何もしないと終わっちゃうし。
「とにかく……魔王のことはお前が心配することじゃない。もし旅したいなら、他の目的でも探せ。安全なやつな。」
「善処します」
「なんなんだよお前……」
すると、階段の下から声が聞こえてきた。そして、まずはメルリアの姿が見えてきた。
「シオン!みんないた!」
続けてソフィさん、その後ろには攫われていたであろう人達が続いて出てきた。まあまあいる。
「盗まれた物も見つかったわ。さ、こんな狭い場所なんてとっとと出ましょ。」
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みんなで村に戻り、村長さんに報告した。ちょっと引くくらいお礼された上に、もう暗いからってことで今日は泊まっていくことにした。最初に借りた家は持ち主が帰ってきたから、宿の部屋を無料で貸してもらった。わたしとソフィさん、それからメルリアは一緒。シオンは1人で別の部屋。
「ねーねー!シオンからなんて言われた??」
「私も気になるわね……。」
「や、やっぱり言わないとダメだよね………」
誤魔化そうと思ってたけど、こうなったらもう無理か……