信じ合える仲間こそPrecious
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「ねえソフィさん。」
少し暗くなってきた街道を歩いていく。いつの間にか木々はすくなってきて、少し高低差のある道になってきてきた。
「どうしたの?」
そんな道をソフィさんと一緒に歩きながら、声をかける。
「ソフィさんって世界統括団体の調査員なんだよね?ってことはなにかの調査に来てる訳?」
「そうよ、今回はこの辺りの地域の伝承について調べに来たの。この辺り……西の地域には大昔の勇者の伝説、伝承が残っているらしいのよ。それの調査。」
ソフィさんは笑顔で教えてくれる。調査の内容まで教えてくれるなんて、優しいなぁ。
「へえー勇者の伝説なんてのが………………西?」
あれ、今ソフィさん西って言った?
「あら、何かおかしいかしら?ヘブンズマウンテンを中心に見れば地図上では左の方、だから西よ。」
「………………西………西ってことは東じゃないってことですよね??」
「………なに、その特徴的すぎる質問………。北でも南でも東でもなく西よ。」
「……」
全く見当違いの場所にいたみたい。完全に東にいたつもりだった。………まあ、どっちにしても最終的には南を目指すから…………いい………の?
「えっと……わたし、南の『蒼海の入江』ってところに行きたくて………」
「あら、そうだったのね。それなら………すこし私の調査に付き合ってくれるかしら?終わったら南まで一緒に行くから、どうかしら。」
「あ、いいの?すごい助かる!」
なんて話していたら、歩いていく先の方に建物が見えてきた。町や村って感じじゃなくて、一つだけ建物がある。宿だけぽつんとある感じだね。
「話の続きは続きはあっちに着いたらにしましょうか。」
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「ふーん……なるほどねぇ………」
宿の部屋は、結構広くて綺麗でいい感じ。わざわざわたしのためにベッドがふたつの部屋に変えてくれたみたいで、その部屋でわたしのことをソフィさんに話した。とは言っても、世界統括団体は『勇者による魔王討伐』をよく思ってない………そんな話を聞いたから、その辺については伏せておいた。だから『探すものがあって蒼海の入江をめざしている途中に仲間とはぐれた』ってだけ伝えた。少し変になる部分もあったけど、ソフィさんは何も言わず、最後まで頷いてきいてくれた。
「そんな感じ」
「そう……じゃあ、南の方にいけばいずれは、そのスティアって子とアリスって子に合流できるのね?」
「多分……あの二人もちゃんとそっちに向かってるはずだから。………それで、わたしはソフィさんの何を手伝えばいいの?」
「明日から本格的に調査を始める予定なんだけど………大きな目的としては、ここから少し南東に行った辺りから始まる大きな砂漠の中のどこかにあると言われる『砂塵の塔』っていう建造物を探すのよ。」
ソフィさんは大きな地図を開いて見せてくれた。確かに、その辺の位置に大きな薄茶色の地域が拡がっている。なるほど、砂漠なんてあったんだ。
「塔……それなら、遠くからでもすぐ見つかるかな?」
「それなら良かったのだけど、そうもいかないのよ。あまりにも長い年月の経過で、ほとんどが砂に埋もれているらしいの。だから、頂上の少しの部分しか見えなくて、そこから地下に向かって塔を降りる必要があると思うのよ………。」
「面倒くさそう……」
「そうね、はっきり言えばめんどくさいわ。だから手伝って欲しいの。………こんな仕事してる私が言うのもなんだけど、1人で歩き回っての捜索なんて、退屈よ。だからルナちゃんには一緒来て欲しい、ただそれだけよ。」
ソフィさんは、「ね、簡単でしょ?」と言ってわたしを見つめる。……そういうのならわたしの得意技じゃん、いるだけとか1番得意だし(?)
「わかった!やる!手伝うよ!」
「うふふ、ありがとう。そしたら、明日は朝から出発して、まずは砂漠の手前の街を目指しましょう。そこで準備をして、改めて砂漠に向かう……どうかしら?」
「おっけい!………じゃあおやすみ」
なんでかわからないけど、めちゃくちゃ眠い。一方的に話を終わらせて、ベッドに寝っ転がる。ソフィさんはそんなわたしを無言で見つめ、そしていきなりほっぺたに口をつけてきた。
「………!?!?」
「よろしくね、ルナちゃん。これは挨拶よ、私の住んでいた地域だけの伝統的な挨拶らしいわ。初めて世界統括団体に入った時も、けっこう驚かれたわね………。それじゃおやすみなさい。」
「……お、おやすみ…………」
ドキドキしちゃって寝るどころじゃない…………びっくりした。ソフィさん、やっぱり不思議な、人を惹きつける力がある気がする…………あ、やっぱり眠い、寝れそう。