勇者パーティを追放されたけど、鏡の異世界で勇者になれました。 最終話 絆の果へ!これがわたし達の勝利への答え!
わたしの考えた『作戦』の準備も終わり、城へ乗り込んだ。ちょっとムカつくことに、一切の罠も敵もなく、すんなりと最深部までたどり着けた。舐められてる………。
そしてその最深部。ゲームの世界に入る前と同じような部屋で、わたしが待ち構えていた。
「来たか………どうだ?死ぬとわかっていながらも我に挑むしかないという絶望の運命………っと、どうやら我からのプレゼントまで身につけているようだ。死にゆく己をせめて可憐な姿で……という淡き思いか。」
「ふっふっふっ……違うよ!」
「や、やっぱこれ恥ずかしいわぁ……ウチらしかおらんくても、ルナみたいに堂々と立ったりとか出来へんもん………。」
「ルナっちもマリリン似合ってるよ!いけいけ!」
これが作戦。今のわたしとマリーの装備はほぼおそろい。違いはわたしの水着が青で、マリーがピンクってだけ。そう、今のわたし達は元の装備をわざわざ脱ぎ捨てて、水着だけ。ついでにボロボロの剣を装備して、付けたら外せない弱体化の指輪もおそろい。全部2セットあったのが幸いだった。
「まさか全てを身につけるとは………愚者の極み。あらゆる力を奪われ、一体何ができる?さあ、我の剣技でその身を散らし、魂ごと鮮血で染まるがいい……!」
お喋りもそうそうに、わたしは刀を構えて走り込んでくる。とてもわたしには真似できそうにない、俊敏で様になっている動き。
そして、右手だけで持ったその刀をわたしに向かって振り下ろす。……死ぬ………わけないよ!
「へへ」
「なっ……!?」
わたしは剣を持ってない方の片手だけでその斬撃を受止め、軽くはじき飛ばす。
「なにを……今の貴様のどこからそんな力が……ならば、マリー!貴様から殺してやろう!さあ散れ!」
一旦引いたわたしは、今度はマリーに向けて魔法を放った。解き放たれた大きい、雷を纏った火の玉は、真っ直ぐにマリーに向かって飛んでいき直撃した。
「ふん……虚無の塵と成り果てよ………そして悔やむがいい。」
「ん、なんかしたか?ウチ全然平気やけど………痒くもないわ。そんなことより、この格好やっぱり落ち着かんわ……」
爆煙の中、マリーは平然とたっていて、体を隠すように腕を組んでいる。
「平気平気、すぐ慣れるよ。」
「………何をした。貴様の今の能力で我の力に耐えられるわけが無い。」
さすがに焦ってるね。いいねいいね。
「わたし……最高のプレゼントだったよ、ありがとね。」
水着とボロボロの剣、あと指輪を見せつけてあげる。
「ありえん……そのような貧弱な装備で何が出来るという…。」
「はいはーい!!あたしが説明するよ!これはルナっちが気がついたんだけど、今のあたし達って装備抜きの素の能力低いよね?で、その状態でさらにマイナスの装備つけて、能力が1を下回ったらどうなるの?ってルナっちが言ってきたの。」
そう。複数のマイナス装備があれば、今のわたしなら全部の能力が1を下回る。その場合、マイナスになっちゃっうのかなって思った。
「で、だから実際に試した見たわけ。水着とか指輪とか剣とか装備して、全部下回らせた。そしたらさ……」
「なんとびっくりや。全部9999とかになったんや。ウチはぜーんぜん仕組みわからんけど、ノルンが言うにはゲームだと『虫』とか言うらしいでこういうの。」
「だから今のわたし達の能力は最強レベル。わたしをこえるわたし……最強最高の強さ!行くよ!」
「おう!行くで!」
その掛け声で、わたしに向かってわたしとマリーで一気に近づき、ボロボロの剣、だけどそれは今だけは世界最強の究極剣!それ全力でを振りかざす!
「これが勇者の剣!偽りの世界を壊す力!」
「これはパラディンソードや!世界を守るんや!」
「あたしは何もしませーん。」
そして、二つの剣が交わりわたしを貫いた瞬間、辺りが光に包まれた。………勝った?