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ラストオブファイナルゲーム

「………うわ、なにここ………」


 意思が戻り、目を開けるとそこは不思議な空間。真っ暗なはずなのに、周りにいるノルンとマリーの姿はしっかりと視認できる。


「うーん……一体何事や……」


「頭痛いよ……神の力がないとこんなにあっさり術にかかるなんて………分かってたけど悔しい………」


 ほぼ同時に、2人も体を起こし、立ち上がる。


「2人とも平気?」


「あたしは平気だよ、でもマリリン……平気?」


「ウチは元気やで!なんかよーわからんことたくさん言われたけど、別にそれくらいでうじうじしたり落ち込んだりなんてせんわ!ウチやこの世界がなんであろうと、ウチがウチであることは変わらんし、ルナとノルンがウチにとって友達なのも変わらん!だから、絶対3人で偽物のルナ倒すで!色々考えるのはその後や!」


 いつもと変わらず、笑顔で大きな声で喋るマリーの姿に、安心する。無理してないか心配だけど、きっとマリーは本心から思ってるはず。だって、マリーだし。


「で、ここどこや?もうゲームはじまってるんか?」


「どうなんだろ?ノルンはなんかわかる?」


「ん、ちょっとまっててね。」


 ノルンは辺りを歩いて、何かを探している。しばらくすると、何かを見つけたようで地面を強めに踏みつけた。すると……


「わ、明るくなった……」


「ほーん……こんな部屋になっとったんか……」


 明るくなった部屋は、レンガの壁に囲まれていてかなり狭い。どうやら、ノルンが踏んだ場所には何かのスイッチがあって、それを押したことで明るくなったみたい。そして、その部屋の真ん中に台にはめ込まれた大きい石版がある。


 近づくと、なにか書いてあるけど………読めない。


「マリーなら読める?」


「いや、ウチも分からん。見たことない文字や。」


「あれ、そうなんだ。」


「あー」


 すると、それを覗き込んでいたノルンが言う。


「あたしなら読めるよ。うーん………ちょっと長くて複雑だから要約するね?」


「うん、お願い。」


「これから始まるゲームは、独裁官ルナが作った仮想の世界が舞台。あたし達はそこに入り込んで、独裁官ルナの作った世界の罠を掻い潜ってルナの待ち構える城にたどり着く必要がある。」


 ノルンは文字を指でなぞりながら説明してくれる。


「ほーん、なんか実際にやってきたこととおなじやなぁ。」


「そうだね、でもこれはゲーム………その世界においてあたし達は『独裁官ルナ』を倒す『勇者』みたいな存在。だから特別な力もあるし、現れるモンスターとかを倒すとそれに応じて強くなれる。この場にユイが居れば…それこそ『ロールプレイングゲームみたいなもの』なんて言えば伝わったけど、ルナっちとマリリンにはその例え通じないもんね。」


「せやなぁ、その例えの意味全然わからんわ。」


「わたしもわかんない。」


「だよね〜。まあやることは簡単だよ。この石版に書いてある『勇者』『パラディン』『賢者』…あたし達3人がそれぞれ1つずつどれかになって、独裁官ルナを倒す。それだけ。でもあいつのことだから、きっと一筋縄じゃ行かないよ。しっかり考えて戦って、レベル………まあ、自分の強さもあげてかないと勝てないよ。」


 勇者、パラディン、賢者………偶然かな…………。


「ま、よーわからんけどやることは同じやな!なら勇者は誰がなるんや?ウチでもええで?」


「うーん、ここはルナっちがいいよ!ね?」


 ノルンはわたしの方に手を回してきて変な感じで言ってくる。


「え、わたしが勇者!?なんで!?」


「面白いから………」


 ノルンは口元に手を当てて笑っている。


「面白いならウチもルナに任せるわ〜」


「えぇ……」


 ………まあ、嘘の世界でくらいなら勇者も悪くない……のかな?

 そうだね、この手で()()()に引導を渡す……うん、悪くないよ!


「じゃあウチはパラディンやるわ!ウチのパワフルパワーでみんなのこと守るで!!任せといてや!」


 マリーは腕を振り回しながら楽しそうに言う。


「そうなるとあたしは賢者だね。まあ、1番あってるとは思うけどさ。……多分、ゲームを始めると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あくまでもゲームの中だから、向こうが用意したものの中で戦わないと………」


「ってことは、向こうに有利なものがありそうだよね……気をつけないと。|()()()の作った世界だもん……」


「知らん知らん!ウチら3人なら絶対勝てるで!それに……」


「ん?」


 マリーは少し間を開けて、恥ずかしそうに言う。


「たとえ嘘の世界でも、独裁官の作ったゲームの世界でも………ルナとノルンと一緒に冒険できるなら、めちゃくちゃ嬉しいわ。」


「マリリン…………」


「うん…………!!行こう!わたし達3人で!」


 ……ダメだ。目を合わせられない。なんでだろう………。


「じゃあ行くよ!ゲームスタート!」


 そして、ノルンは力強く石版を叩いた。

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