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まあまあそれなりにハード

「んとな、まず何から話そか。…………ルナが最初にいた街ってあれやろ、やたらオシャレな建物とかあって、住んでる人たちも楽しそうな感じの街やろ?」


「そうそう。逃げてきた人から聞いた話だと、やばい街ってことだったし………。」


「せや、その人が言ってる方が正しいで。てか、別にあんたがいる街は最初からずっと同じ街や。なんで牢屋にいたかはしらんけど、この地下の上にはあの街があるわけや。()()()()()()()()()()()()()()()()やで。」


「??」


 そこが分からないんだけどね。


「もしかしたら、大層な真実とか秘密とか、そういうの期待してるんかもしれんけど、全然そないことないで。単に、そういう術にかかってるだけや。街に入れられた時点で、()()()()()()認識するようになってまう。それだけや。」


「いや、全然わかんないけど。」


「別に幻覚を見てる訳でもないし、幻聴でもないねん。街の姿は常に同じで、そんな綺麗なわけないで。もっとボロボロで、悲惨や。妙な話なんやけど、独裁官のやつが使う術にかかると、『今見ている景色は綺麗な街並みで、街の人もみんな平和そう』って認識しか出来なくなるんや。実際は街はボロボロで、人も苦しそうなのに。」


 マリーは高いテーブルにわざわざ手を伸ばしながら喋る。


「ってことは、わたしとユイが見た景色とか、話した人……実際とは違うの?わたし目線だと、普通に会話もできたのに……」


「せや、だから向こうから見ればあんたらは完全に頭のおかしいやつ扱いやろな。いくらここが悲惨だ、苦しいって訴えても、相手には何故か全く伝わらない………けど、お互いに術にハマっていたら会話は成り立つで。お互いに、ここは平和だって認識しとるからな。」


「うーん………」


 わかるような、わからないような。じゃあ、街に入って最初に話した人はは多分、まだ術がきいてたのかな?何となく、会話成り立ってたような気がする。いや、ていうかそもそもあの人以外まともにかいわしてないか。他はツインエース、スティア、エルリック………かな?なんでだろ、なんか、記憶が曖昧……。


「で、その術をとくには『真実を知る』これだけや。」


「あー………」


 少しわかった。ツインエースが言ってたのはそういうことで、何かしらのヒントを集めて、いずれわたし達が真実を知れば、その瞬間術は解ける。きっとそうすれば、彼女は次の道を示す予定だったんだ。


 ……つまり、エルリックから直接答えを聞こうとしたのはルール違反。だから牢屋に連れ去らた………ってことかな。

 ……じゃあ、今ここでめいかくな答えを聞いちゃったから、ここから外に出たら………全く違う景色?



 ん?おかしい……おかしくない?エルリックは何者?なんで真実を知ってたのに、その場にいられて、術にハマっているわたし達と普通に会話出来て、あたかも同じ景色を見ているかのように振る舞えたんだろ……?


 まあいいや。今更どうでもいいし。


「こんなもんか?これで理解できたやろ?」


「まあ……うん、まあまあ。」


 とりあえず『()()()の術のせいで、この街に入った段階では認識がおかしくなる。それを解くにはどんな方法でもいいから真実を知る。でも、真実を知ったこと(知ろうとした事)がバレた時点で牢屋に連れていかれる』って感じ?かな?


「でもなんでそんなまどろっこしいことするんだろね?」


「そんなん知らんて。人を騙して沢山集めてなんにやるんやろな。ウチらが考えても絶対わからんわ。」





 …………あれ、そうえば、わたし達がこの街で食べたもの、なんだったんだろ………いや、考えるのはやめよう。知らない方がいいことも、ある。


「真実を知った上で上手いことやって捕まってない人と、ウチが逃がしてあげた人達は特定の範囲に固まって暮らしてるで。その方が何かと都合がいいんや。ホントは直ぐにそこ目指したいんやけど、この先どうなってるかわからんからなぁ。早く戻れるとええんやけど。」


 ああ、真実を知っても上手く逃げてる人もいるんだ………あ、そうだ。


「ねえ、あれは?あれはなんだったの?あの看守達……奪われた人?」


 忘れてた。あれも気になる。


「あーあれな。」


 マリーは椅子からおり、小部屋の壁を手で叩き始める。


「あいつらな、元々はウチらと同じ人間や。と言っても、本体じゃない。独裁官じゃなくて、その仲間の怪盗が使える術らしいで。人間の体から精神だけ抜き出して、自らの眷属にする……やったかな。そんなのがあるらしいで。」


「ツインエース………」


 そんな術があるんだ。アリスのイメージとは全く合わない。


「でな、精神を抜かれた人間の体はそこら辺に放置されてるんや。酷い話やろ?せやから、ウチらで保護してるんや。で、さっきみたいに精神から作られた人間倒せば、元に戻る。それだけの話や。」


 小部屋の中をウロウロと歩きながらマリーは言う。


「なんか怖いね………」


 なんであんな見た目かはわからないけど、そんな術厄介すぎる。どうしてこっちの世界のわたし達、そんなに強いの………あ、わたしとかアリスがアレなだけだね。


「んじゃ、そろそろ行くで。何があるかわからんから、油断だけはせんといてな。」


「うん」


「ま、とはいえそんなに緊張するのもあかんわ。お散歩気分でお気楽に行こうや。」


 その言葉どおり、小部屋を出たマリーは通路の奥に向かって、やたらと軽快な足取りで進んでいく。先の方に見える右に曲がってる通路。あそこを曲がった途端………みたいなことだけは起きないで欲しい……!



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