そりゃそうなるよね
エルリックについて行った先、そこは地下の薄暗い道。一応整備はされてるけど、地上と比べると大したことない。
「ここは滅多に使われない通路だよ。ここならツインエースは来ない………けど。」
「……やっぱり、そうだ。」
薄暗い道、その両脇には無駄に大きい水路、そして足元には不自然な水溜まり。これなら、きっとこっちの世界のセーラも出てこられるってこと。
「水路とか足元の水。これがあると、ツインエースが来なくても連れてかれるんだと思う。」
セーラのことまで話すと面倒だし、結果だけ教える。
「……少し思ったのだけど、ツインエースは私達に『謎を解け』と投げかけてきた。それなら、別に彼から話を聞くことに対して邪魔はしない可能性もあると思うわ。」
「あれ、君たちツインエースと会ったのかい?直接話して、なにか言われた?」
「あ、うん。まあ色々。」
これも説明面倒だし、いいや。察して!
「うーん………彼女から直接謎を解くように言われた………それなら、確かに今回だけは特例………の可能性も十分にある。」
エルリックも納得して、わたし達の方を改めて見る。
「それなら、わざわざこんな場所に来る必要もなかったかもね。まあ戻るのも面倒だし、ここで話してしまおうか。」
地下通路、よく響く声でエルリックがそう宣言し、話始めようとした刹那
「ん?」
「………………よみが外れた…………わね。」
足に妙な感覚。掴まれたような感じ。
足元を見ると、地面の水たまりから出てきている2本の腕が、わたしの右足とユイの左足をがっちりと掴んでいる。
「…………」
「……話そうとした本人の、僕は平気なんだね………なんだか、君たちに悪いことを」
エルリックが言い終わる前に、体が地面に向かって異常なまでに強く引っ張られた。まったく抗えない、強い力。
「やっぱりダメだったじゃん!!」
「……未来は未確定……ってことよ。」
そして、わたしとユイの体は地面の水たまりの奥底へと引きずり込まれていってしまった。
――――――――――――
「………うーん……………ん」
気がつくと、さらに薄暗い岩壁に囲まれた狭い場所。周りを見ても、誰もいない。ユイもいない………つまり、わたし1人。
「あ、そういうこと……… 」
四方の壁の1箇所だけ、鉄の格子になってる………つまり、ここは地下の牢屋…………うん、間違いない。
「結局、捕まって連れてこられたってこと……だけど、これはこれで。」
こんな場所かわざわざあるなんて、どう考えても怪しい!つまり、やっぱり何かしらの秘密があるってことだよね……!
「………だとしても、どうしようもないじゃん。」
わざと大きい声で喋ってみたりしたけど、特になんの反応もない。近くには誰もいないかな?
「うーん………詰んだかなこれは………。」
どうしようね、わたしじゃ何も出来ない。
幸い、荷物は奪われてなかったけど、特に使えそうなものもない。お金とか、レヴィから貰った宝石とか、ここじゃ何の役にも立たない。この鉄の格子を壊せるなにかとか、ないかな……。
「ないね!」
せめてわたし自身の力とかあれば良かったけど、そういうの全く無縁なもので。ママから受け継いだ、わたしの体に流れる魔なる血もわたしの怠惰の前には無力だったと。さすがだねわたし。
「でも、考えてみればみんなだいたい何か一つ位はあったよねぇ、シオンは勇者の力、ルルちゃんは人を守る力、メルリアは最強レベルの魔法、アルト君は魔剣………。レヴィも変な竜化できてし、セーラは限定的だけどワープ、スティアは錬金術………アリスは…………アリス…………うーん………………」
アリスのドレッド・ブレードとユイのアカシックノートはよく考えたら自分の力じゃないじゃん。ずるい。
「………お?」
全く関係のないことを考えていると、遠くから足音が聞こえてきた。間違いなく、こちらに向かってきている。敵か味方か………とにかく、誰でもいいから来て!