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また、少し別のお話を

一部ですけど、少し違う表現にしてみました。

「………あら、そういえば………なんであたし……」


 世界統括団体の人が調査に向かい、アリスが怯えだししばらくした時、スティアがふと声を漏らした。


「ん?なに?」


「あ………いや………なんでもないわよ………。でも…………」


 スティアは全然なんでもなさそう。何かを気にしている。


「スティアちゃん?」


 アリスもまた立ち直り、スティアに少し近づき疑問の声を上げた。


「きになる!」


「気のせい………いや、そうじゃないわね………」


「だから何の話!」


「うるさっ!?」


 わたし達の話を全く聞かないスティアに、少しムカッとして耳元で叫んでみた。


「わ、わかったわよ………。ほら、あたし最初に四天王の話したわよね?その時、他の誰とも会ってないって言ったけど………おかしいのよね、『万物流転の観測者』なんて呼ばれる女とはあってるはず……そういう記憶があるのよね。なんか記憶があったりなかったり…………だから」


「だから?」


「もしかしたら、あの杖を壊したことであたし魔王側にいた時の記憶が少しずつ消されたり、おかしくなったりしてるのかも……って。そう考えると、確かに今思い出そうとしても記憶がぐちゃぐちゃでよく思い出せないことも多くて。」


 スティアは椅子に座ったまま、少し疲れたように頭を抑えてそう言う。


「たしかに、有り得るかもしれません。元々力を与えた人が裏切ったなら、記憶の操作くらい出来そうです。スティアちゃんの体には少なからず魔王から授かってしまった力があるわけで、遠隔で魔王がそれに干渉して記憶を弄る………あるかもです。」


 魔王怖い。


「それならさ、尚更話聞かせて欲しいけど!忘れる前にわたし達に教えてよ!」


「そうですよ、今『万物流転の観測者』のことを誰にも話さず居たら、今度こそ完璧に記憶が消えるかも知れません!さあ、話してください!」


 いつに無く強気なアリスに押され、スティアもその気になったようで、


「そうね………今なら多分鮮明……話せると思うわ。また訳わかんなくなる前に、話してあげるわよ。」


 といい、喋りだした。


――――――――――







「……なによあんた?」


 世界のどこかにあるとある場所。魔王から力を得た少女………スティアの前に、奇妙な格好した少女が現れた。


「……………」


 その少女は世界のどこにもないような妙な服とスカートを身につけていて、目が半分くらい隠れるような前髪と、肩まである黒い髪、そして常に一冊の本を開き、それに目を向けていた。


「………なんか言いなさいよ。それに」


 スティアはそんな少女に、嫌悪感を覚え、さらに語気を強める。魔王の力により作られた、自分のためのこの場所に、突如として現れた少女に対して友好的になれるはずもなかった。


「………あなたは今、その言葉に続けて『そんな妙な本なんて持って気持ち悪いわよ。』と言おうとした。」


「えっ……」


 まさに、言おうとしたことを1字1句違わずに先に言われ、何を返すべきかわからずに戸惑うしかできない。


「『心を見透かす……なんて、さすがにあるわけない』と思っていて、口に出そうとしている。」


「ちょ、ちょっとまちなさいよ!さっきから何!?なんのトリックよ!」


 しかし、少女は止まらない。


「あなたは約5秒後に右に持った杖を私に投げようとし、しかし思いとどまる。そして私のこの発言に対して怒り……では無い、わずかの恐怖を覚える。」


 あくまでも淡々と、まるで感情などは持ち合わせていないかのように喋り続ける。そんな少女を、スティアは遮る。


「もう分かったわよ!あんたに何かしらのすごい力があるのは分かった………で、何が目的よ?そもそも誰?」


 少女は本から目線を外し、顔を上げる。長い前髪から覗くその瞳はとてもまともな人間のものには見えない。開ききった瞳孔……彼女の『異常性』を強調しているかのように見える。


「私は『万物流転の観測者』……『破滅の錬金術師』のあなたと同じ、あのお方から力をさずかった。私の力は全てを見通すこの本……『アカシックノート』。過去や現在はもちろん、未来、更には他者の心も観測出来る。……どうかしら、この力。」


 そしてまた少女は本に目を落とす。


「どうって………」


「『聞くまでもなく心を読めばわかるでしょ?』………。」


「そうよ!その通りよ!だから無駄でしょ!?で、なんの用なのよ!?」


「『反転世界の王』は会えず、『アルカナの支配者』は会う価値もないものだった。だから『破滅の錬金術師』はどんな人なのかを知りたかった。……まあ、及第点かしら。」


 やたらと上からものを言う少女に、スティアは苛立ちを覚える。


「ふん、随分と偉そうね。ボソボソと小声で人の悪口言ったり心や次の行動をよんだり……あなたよっぽどつまらない人間だったのでしょうね。あたしの友達とは大違いよ。」


「…………?」


 その発言に、少女は首を傾げた。


「なによ?」


「友達………アリス。よめない………アカシックノートが示さない。あなたのその心は……」


「残念だったわね!いくらすごーい力を持ったアカシックなんちゃらでも、あたしの中のアリスに対する気持ちなんて理解できるわけがないわ!もういいわよ、どっか行って。あんたも四天王なんでしょ?ならこんな所で無駄なことしてないでやる事やったら?」


「………やることをやるその時も、アカシックノートが教えてくれる。今はまだ。でも、帰ろうかしら。あなたと話してもつまらない。」


 しかし、スティアはもう少女に対して怒りの感情はなかった。


「ふん、かわいそうな子。」


 が、少女はまだ帰らない、


「かわいそうな子………そう、そうかもしれない。あのお方から力を貰ってこその私。そうでなくては私は破滅を待つことしか出来ない。でもそれでいい。」


「……?」


 そして、少女はどこかに立ち去って行った。








――――――――――――――


「………って感じだったはずよ。」


「それがどこ、どんな場所だったかは思い出せませんか?」


 一通り聞き終わり、アリスが質問した。


「そうね、会話の内容ややり取りはこんなに覚えてるのに、どこのどんな場所だったかは全くよ………魔王が作った場所………どこなのかしら。」


「ふーん………でも、なんでもお見通しとかやばいね………四天王ってことは、いつか戦わないと………勝てるの?」


「さあ、知らないわ。でも、そんなのも覚悟の上なんでしょ?」


 スティアは何故か少し笑いながら言う。


「ま、そうだけどさ。」


「アリスもです!こんなアリスのことを必要としてくれるルナちゃんや、アリスのことを大好きでいてくれるスティアちゃんとならどんなとこでもどこまでも行きますよ!!」


 と、またすこし決意を固めたところで、どこからかすごいいい匂いがしてきてしまい、完全に意識がそちらに行く。


「お腹すいた!」


「……いつの間にか夕方ね。」


「ビッドさんのお料理たのしみです!」


 キノコと魚と木の実………まぁ他にもあるかもだけど、一体どんな料理かな?めちゃくちゃ楽しみ!






 

ルナちゃん以外の人の回想がある場合、三人称になるかもしれません………

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