表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/118

ドレッド・ブレード

こんにちわ

「これ………」


 そう言ってアリスが見せてくれたのは、さっきの剣……に変形した棒。近くで見ても、金属製のなんてことの無い棒にしか見えない。


「これは、錬金術で作られてるんです。アリスの唯一のお友達の錬金術師……スティアちゃんが作ってくれました。『1人でも危なくないように』………って。」


 薬を作ってくれたのもそのスティアって子らしい。アリスと同じ歳……14歳にして錬金術の腕はかなりのもので、許可を得てお店までやってるとか。


「剣装錬金……スティアちゃんはそう呼んでいました。使用者…この場合はアリスの指示や思考で、生き物のように動いて戦ってくれます!便利なんですよ!」


「どういう理屈?」


「うーん……聞いたんですけど、難しくて忘れちゃいました。錬金術で駆動させるためのギアを作って、それに別の方法で調合した鉱石を埋め込んで………あとはわかりません。ま、そんな感じです!」


「わからないね。」


「そうですね!でも便利だからいいんです!スティアちゃんは凄いんですよ!『賢者の石』でさえも作り出すことができるんです!」


 なぁにそれ。


「ところで………ここどこですかね?」


 ……たしかに、言われてみれば。どこまでも続くと思っていた平原は終わりかけていて、たくさんの木々が生えた山の入口が見える。


「あ、あそこ………小屋がある。行ってみる?」


 登山口の横、小さい小屋がある。割と綺麗だから誰かいるかな?



「すいませーん。どなたかいますですか?」


 アリスが小屋を叩く。しばらくすると、ドアが開き中から20代位の髪の長い女の人が出てきた。


「あら………?誰かしら?今日はお客さんの予定はなかったけれど……」


 その人は頬に手を当てて考えてる。


「あ、アリス達は………ちょっと聞きたいことが………」


「ああ、旅してるのかしら?何が知りたいの?」


 話がすぐ通じる人だ。


「アリス達、『蒼海の入江』に行きたいんです。どこに行けばたどり着けますか?」


「蒼海………だいぶ遠い場所ね。それなら………大変だけど、そこの山『マナの山』を超えないといけないわね……平気?貴方たちに超えられるかしら?……立ち話もなんだし、中入っていいわよ。」





「わたし達じゃ超えるの難しいのかな………」


 招かれた家の中で、椅子に座って話を続ける。


「そうねぇ。女のコ2人の旅じゃあ少し難しいかしら。私はずっとここに住んでるけど、あなた達みたいな人が通るのは見たことないわね。……でも、行くのよね。」


 女の人は心配そうにわたし達を見つめている。アメジストのような綺麗な瞳で、少しドキッとする。


「は、はい……行かないと行けないので………」


「ふふ、そうね、あなた達の目、素敵だもの。絶対に行けるはずよ。だから……これ、あげるわ。御守りよ。手、出して。」


 そう言って女の人はわたしの手に何かを握らせてくれた。手元でそれを見てみると、小さな木彫りの人形だった。


「大したものじゃないけど………私が作ったの。こうやって、ちょっと心配な人にあげてるの。大切にしてね。」


「はい!アリス頑張ります!」


「ふふ、頑張ってね。それじゃ、引き止めちゃってごめんなさいね。」


「ありがとうございました…」


「はい、行ってきます!」


―――――――――――――


 今から超える山…『マナの山』は標高こそそこまで高くないけど、危険な生き物が多く潜んでいるんだとか。それ以外にも、道がわかりにくい、この辺りは天気が急変しやすい、所々道が崩れかけてる、木が多くて視界が悪い……など、悪条件が重なっている。幸い今は天気がいいから、今のうちにできるだけ進んでおきたい。


「アリスは山歩くの嫌いです……ルナちゃんはどうですか?」


 登山道に入り、まだ緩やかな道を歩きながらアリスが聞いてきた。


「んー……あんまりガッツリ歩いたことないんだよね……シオンもできるだけ危険な場所を避けてたみたいだし。丘とか、小さい山ならあるけど………でも、多分平気かな!」


「……山を舐めちゃいけませんよ。」


 アリスの方が前を歩いているから顔は見えないけど、声のトーンを下げて言ってきたあたり、少しは真面目にいってるきがする。


「い、いや……舐めてないよ…」


「本当ですか?山は少し油断してるだけですぐ道に迷ってしまってアリスの人生みたいになったりウロウロしてるうちにアリスの将来みたいに辺りが暗くなってたり崖や崩れた道で足を滑らせてアリスみたいに『落ちて』しまうかもしれません。特にこの山はあのお姉さん曰く危険なところらしいのでルナちゃんみたいに軽い気持ちでいると死んじゃうかもしれませんよ。」


「ま、またネガティブになってる……!」


 そんな気持ちで山歩く方が危ないよ?と言おうとしたら、言うより早くアリスはもう元気になっていた。


「でも天気がとてもいいですね!油断はしないけど、楽しく歩きます!木々の隙間からの木漏れ日も気持ちがいいですよ!」


「そ、そうだね………」


 でも、今のところは全然何もやばそうな感じしないけど、どうなのかな…………。






㊙情報

ルナちゃんに熱湯をかけると火傷する


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ