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森の果て

 踏み入ったその森は、外から見た時思った通り、かなりくらい。晴れの日の昼間とは思えないような雰囲気で、奥に進むほどそれは増していく。


「……こんな場所歩いていると、楽しくいこう、だなんて言ってもどうしても口数も減っちゃうわね………」


 3人で並んで歩いているのに、無言なのは確かにつまんない。


「あ、それならさ。馬車の中で話せなかったお城のこと教えてよ。」


「アリスもききたいです!村長さんからなにをきいたんですか?」


「ああ、確かにちょうどいいわね。と言っても、もうそんなに大したこともないけど…………。この森の先にあるお城はね、いつ、誰が何の目的で作ったかわからないらしいわ。旅の人達の記録とかを見ても、道に迷って偶然たどり着いたとかしかなくて、ここを目指す人もいなかった……。だから当然、そのお城がなんなのか知ってる人はいないの。しかも、正確な記録にはないお城………とても不思議だと思わない?」


「はい……大きくても小さくても、名前がついたお城である以上、普通なら記録に載るはずです。………それに、調査とかもしていないとしたらますます謎です。解き明かしたいですけど、わかることが少なすぎて………」


「ふーん………」


「まとめると、『正確な記録にない、存在意義が不明なお城』がこの先にある……ということが『偶然お城を見つけたひとの手記』に残っていた。でも、それを見てここに来て調査をしようとする人はあの村にはいなくて、ここを見つけた旅の中にもそれを世界統括団体へ伝える人もいなかった。まあ、ただ面倒だからってだけかもしれないけど……。とにかく、不思議なことにここは長い間、誰にも調べられることもなく、ずっと存在していたのよ。」


「よくわかんない。じゃあなんであそこの壁画にはそのお城の名前があったんだろ?」


「…………あの壁画にあったってことは、大昔からあるって事よね………もうかなり朽ちてる可能性も高い……だから調査すらしない、なんて可能性も無くはないわね。壁画に名前があった理由とか、どうして2箇所に分けたのかは予想も出来ないわ。その答えが見つければいいんだけど……」



 色々言ったけど、結局何もわからないし、推測すらもまともに出来ていない。思考にいき詰まり、またしばらく無言で歩く。



「あっ」


 すると突然、アリスが声を上げた。


「ん、なに?」


「お、お薬……飲むの忘れてました」


 アリスは別に今更隠すことでもないことを、何故か恥ずかしそうにソワソワしながら言う。


「ん、なら飲めばいいじゃん………」


「そうね……アリスちゃんの事はもう分かってるし、今更なんとも思わないけれど……」


「あ、そうじゃなくて………その……おトイレ……」


「おっけー理解したよ。ここで待ってるから!」


「ご、ごめんなさい!」


 アリスは少し離れた、木の影の方に急いで走っていった。


「そっちのお薬……ね」


 あの薬便利だけど、行きたくなってからじゃ遅いしねえ。ちゃんと最初に飲んどかないと。


「あ、そうだソフィさん、ちょうどいい。」


「なに?」


 アリスが居ない今こそ、言うべきだ。


「アリスにいつか言うの?ソフィさんのお家のこと。向こうは全く気がついてないから普通に自己紹介してたじゃん?」


「あぁ………べつに言わなくてもいいんじゃないかしら……お互いに困ることもないし。」


「いいけど………わたしが口滑らせて言っちゃうかもよ?」


「…………?」


「うわ、ごめんて………」


 今の目、やば!初めて見たよあんな見下したような、怖い目!やめとこやめとこ、絶対言わない。ソフィさんがいいって言うならそれでいいです!


「ま、一応考えては置くわ。」


「そ、それがいいと思うよ……う、うん……」




「お、お待たせしました………」


 ちょうどいいタイミングで、アリスが恥ずかしそうに戻ってきた。


「ん、行こっか。」


「たぶん、もうそんなに遠くないと思うけど……霧も出てきたし、何があるか分からないから、気をつけて。」


「は、はい………」


 そして、先に進めば進むほど、霧が深くなる。………でも、そんな深くて無限にも思える森も、段々と木がすくなくなっていって、そして……



ちょっと短くてごめんなさい

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