物語の結末まで
世界には世界樹と呼ばれる大きな大きな木があります。
その世界樹とは世界に対して楔の役割を持ち、魔法の元が存在する次元と物質世界の均衡を保つ役割を持っていました。
均衡は非常にシビアな物で、常に世界の容量を満たす物でした。
そして楔の性質は均衡を保つ副産物として、異世界の異物を排除するという効果を持ち、度々現れる異世界の異形達、言伝えで魔王と呼ばれる物達を世界より弾き出す事ができます。
異世界の異形達『魔王』は本来自我を持たず、破壊衝動に任せて暴れ回りますが、なんの偶然か、寄生虫として生まれた主人公は自我を失って居ませんでした。
主人公が度々世界樹の断片に触れ、気を失って居たのは、世界から弾き出されかけていたという事になります。
しかし、断片程度では現地にいる者に強く根を張っていた主人公を弾き出し切る事が出来ず、逆に徐々に耐性を与えてしまいます。
とある街に訪れていたエルフに寄生した主人公は、世界樹のお膝元であるエルフの集落を訪れます。
そこで寝たきりであるエルフの長老と出会い、世界樹について、魔王についての情報を仕入れます。
世界樹を排除する事はできない。
それが主人公の結論で、そもそもこのまま争い続けても疲れるだけだと今後の指針がそこで決まりました。
エルフの長老に寄生した主人公は長老に提案をします。
一つ お互いに争わない
一つ エルフ奴隷解放の協力
一つ 自分を除く魔王排除の協力
一つ 世界樹に対して害を与え無い
一つ こちらに対しての監視役の派遣
一つ 拠点を世界樹の大陸から移動させる
長老は寄生されつつも、主人公の意を汲みこれを了承します。
主人公は誠意として自らの事を詳しく話し、監視役として派遣する者には世界樹の装備を持たせる事を奨めます。
約定のとおり、主人公達は海を渡り世界樹がある大陸とは別の大陸に移動します。その大陸にてひっそりと暮らしますが、その大陸にある法国と帝国に目を付けられ、一つの戦争に発展します。
しかし、力を得た主人公に敵うはずもなく、国ごと主人公に乗っ取られてしまう。しかし、主人公はそこで何をするでもなく、そのまま平和的に日々が過ぎていきます。
大陸を支配して数十年、幸子も初期の村人も天寿をまっとうしてから、主人公は全ての寄生対象に対して積極的に干渉するのを控えていった。
永らく生きてきたこともあり、主人公は終宿主に縛られない寄生生物となり、食物連鎖を通すことであらゆる生物の中に存在し続ける。
その存在は世代を重ね蓄積されていくことで、村人との間にあった親和性のように寄生対象の身体機能や魔の元素に干渉する能力を徐々に向上させていきます。
そこからさらに幾星霜
大陸に主人公の因子が広がり切ってから、主人公は自らの自我が徐々に希薄になっていく事を自覚する。それは自らの因子があまりにも拡散した為、精神的な容量が保たない為だと、なんとなく理解した。しかし、もうそれを止める事はできない段階でした。
死とはどこか違うその現象に対して、主人公は恐れを感じる事はなく、ただ眠るように茫洋とした感覚で受け入れやがて観測するだけの存在となっていった。
その揺蕩う感覚はどこか懐かしい揺り籠のような、でも息苦しく無い優しい微睡みでありました。
主人公が存在する大陸と、世界樹が存在する大陸は、海を隔てていることもあり、深い交流をすることもなく、主人公を蓄積する者とそうで無い者は確実に能力の差を広げていきます。
無論海を越えて世界樹側に渡る者も居たため、一応世界樹側にもそれなりの能力を持つ者も存在しましたが、主人公の元拠点付近と比べたら天と地ほど差があります。
やがて、世界樹側の人間はその明らかに魔にたけた能力を恐れ、海で隔てた向こう側の存在を違う生物として扱い始めました、『魔族』と呼ばれたそれは、恐怖の象徴であり、迫害の対象であった。
主人はそれを悲しみ、魔族が迫害されないように、一定の能力を持たない者には制限をかけました。
大陸を出ようとすると頭痛と吐き気に襲われるように、また、大陸に居る間は些細ながらの多幸感を得られるように。
こうして、大陸に魔族を呼び戻し再び平和が訪れました。
世界は二分化され、現界と魔界となり、異世界物語として基本となるような世界となります。
ここまでが一節となる物語の終わりとなります。
繋いで、主人公が世界に溶け切り世界樹に拒絶されくなったり、別に現れた魔王が酷い目にあったり、幸子似の少女が霊薬の素材を求めて旅に出たりするのは、また後の話しになるでしょう。
以上




