虐殺キッズ2
「んふふ」
思わず出てしまったというような感じの忍笑い。
それは自らの直上から聞こえて来た。
(ああ、まさか)
そう思いつつ、斬り付けていた手を停めて、上を向いた。
人の形はしている、だが全身に凹凸は少なく艶もなく毛も無い。多くな口だけを有し、声はそこから出しているのが思い当たるだけで、特徴が無いのが特徴と言えるような外見。
そしてその口は大きく弧を描き、笑顔のように端がつり上がっている。その口だけでも人の頭くらいなら丸呑みできそうな大きさだ。
白い饅頭に切れ込みを入れたようなそれ。
生暖かい感触が股間に広がり、小刻みにしかし大きく身体が震え始める。ガタガタと骨の揺れる音すら幻聴で聞こえてきそうなほど。
いつ、あの大きな口で頭を食いちぎられ、先ほどの死体のようにされるのか。それともそれ以上に惨い目に事をされるのだろうか。
口がゆっくりと近づいてくる。血液の鉄臭さとそいつが発している生臭さに吐き気がこみ上げてくる。
(ああ、ここまでか)
諦めた感情に身を任せ、目を閉じる。せめてひと思いに殺してくれればと祈るばかりだった。
「ちょっと待って。」
この場に不釣合いな子供の声。怪物はその声にピクリと反応して動きを止め、ゆっくりと声のした方を向いた。
そこには見まごうことなき子供の姿。しかし、心のどこかで直感的にこれがよくないものだと理解した。
しかし「た、助け!!」
この際ここから逃げられるのであればなんでもいい、とにかく助けが来る事を願って大声を上げようとした。しかし、それを察知したのか無造作に口に紐を詰め込まれる。
「ちょっと静かにしてね~」
怪物がそう言って、改めて現れた子供を向く。その子供はそれに恐怖を抱くようすもなく、平然と近寄ってきた。
(やっぱりこいつも普通じゃない)
理由も分からないが、怪物はこの子供の言葉をまっているらしい。
それよりも、その子供の姿に引っ掛かりを覚えていた。
(こいつ!あの時の!)
首から下に目が行き、ふとその頭の中に答えが浮かんだ、それは牢獄にいるはずの子供だった。
「ん゛ん゛!!」
驚きから出たくぐもった声がでた。そんな俺を無視して、その子供は怪物に語りかける。
「ガット、この人使ってやってほしい事があるんだけど」
ヒソヒソと話を始め、怪物がそれに頻りに頷いている。やけに人間臭い動きをするし、名前も人間っぽいというのに驚いたが、それよりもその話している内容に怖気が走り、血の気が失せていく。
(ああ・・・神様・・・)
神なんて信奉してはいなかったが、この時ばかりはそうすることしかできなかった。悪事をしてきた事をそのときになって本当の意味で後悔することとなった。




