子供達6
「神は貴方に試練を課し「おっ!おい!!たっ頼みがある!」
笑顔で俺に語りかけるそいつの後ろから割り込むように、吊るされた仲間が叫ぶ。
不機嫌げに眉を顰めつつ、視線がそいつに向かう。
「おっ俺にもその恩寵って奴をくれ!そいつの代わりになってもいい!」
あの光景を見ていたのは俺だけではなかったらしい。暗がりだというのによく見えた物だ。
「渋るそいつよりも進んで協力した俺の方が使い勝手がいいはずだ!」
それは確かにもっともだ。俺を犠牲にして自らが助かりたい。最初に裏切ったのは俺だし。
その交渉は俺自身の危機だというのに、どこか他人事にも感じられて、どこかこの雰囲気を俯瞰的に観察している自分がいる。
さっきまで混乱していた思考が段々と澄んでいく。
思考の放棄とは別の、そう、あまりに想像を超えた物との邂逅により、一周して達観してしまった感覚。
「ふむ、あんな事を言ってくれてますが。」
振り返ったそいつはニヤニヤと笑っている。
それは悪戯を思いついた子供の、そいつの年相応の表情だ。
俺は狂ってしまったのだろうか、その表情を見たときに思わず吹き出しそうになった。いや、唐突に理解できるようになってしまったのだ。
そんな思わせぶりな事を言いつつ、答えはもう決まっているのだと。
嘘でこちらを試すような、からかっているような、そんな雰囲気の中、どうやらこの子供は俺の言葉を待っているようだ。
そうならば、返答をくれてやろうと俺はポツリと呟いた。
「それを決めるのは俺でもないし、お前でもないんだろう?」
これは思考の放棄では無い、明確な第三者を指しての言葉で、この場を支配しているのが誰かという単純な事を口にだしただけだ。
「良い拾い物をしました。」
そう短く呟いた後に、他の子供に何やら指示を出して俺と正対した。
「おっおい!話はまだ!」
その後ろでは仲間だった奴に、子供が群がって行くのが見えたが、今はもうどうでもいい事だ。
「今、神が欲しているのは人間が窮地に陥ったときに発生する物質や状態であり、これは平時で発生させるに難しく、快楽が得られている時の物とは全く別な物です。
今、貴方の思考はとても澄んでいるでしょう。神はその状態を作れる人間を求めています。貴方のおかげで我々は更に先に進める。」
「やめろ!やめてくれ!クルト!助けてくれ!くそっ!くそっ!助けろ!この裏切り者が!」
「お前達は一体・・・神とは一体なんだ?」
「我々は自らの事を[宿りの民]と称しています。神とは我々を窮地から救い、かつ今でも庇護していてくれる御方を指します。
まあ、色々と成りたてで混乱しているでしょうし、一緒に行動しているうちに色々説明しましょう。」
後ろから響く甲高い悲鳴が全く聞こえないのか、屈託の無い笑みを俺に向けた後、身を翻した。
「さあ皆!そいつをさっさと糧にしてしまって、そろそろ動きましょう!でないとお姉さん達が動いてしまって我々が出る幕が無くなってしまいます!」
「「「は~~~い!!!」




