襲撃とハイエルフ 2
「そんな莫迦な事が!」
驚愕の余り呆然と立ち尽くしていると、手元で串刺しにしていた鳥も動き始めた。
とっさに振り払い離そうとしたが、血で固まってしまっているのか離れる気配が無い。
「クッ!」
腰に挿した短剣に手を伸ばし、切りつけようと鳥に目を凝らした時・・・
彼は信じられない物を目にした。
いつの間にかその鳥は大きく口を開け、その血に濡れた真っ赤な口蓋から、真っ白な紐のような物がこちらと向き合うように出てきていた。
血液と鳥の粘液が月の光に反射して、その異様さを一掃掻き立てている。
全身の毛穴が広がり、髪の毛の先まで総毛立つ。
「お前か!?この不死身の鳥を操っているのは!」
恐怖に抗えず、剣を振りその紐を横薙に断ち切ろうとしたが、向き合う形から身を伏せた事であっさりと躱されてしまう。
弓の針はおよそ20cm程の長さがあり、鳥は根元まで刺さっている。
それが身を伏せた事により、そいつはべったりと弓に触れた。
直後
パキパキと乾いた音が周囲に響く。
「なっ!?」
亀裂は一瞬で弓全体に広がると、弾けるように音を立てて破壊させた。
「世界樹の弓が・・・。
まさか・・・これは・・・!?」
自らの切り札である武器が破壊された事と同時に、彼はその結果について、とある考えに行き着いていた。
「・・・まずい事になった・・・。
里に帰らねば・・・。」
色白の顔立ちから更に色を失くした彼は、震える身体を無理やり動かす。
なんとかとぼとぼと歩き出し、100年以上は離れていた里に戻るために行動を開始する。
恐怖と焦燥に駆られた彼は気づけない。
矢筒から力なく垂れ下がったネズミの尻尾の存在に・・・。




