とある群長の憂鬱
とある森の奥にて、その物達は存亡の危機へと陥っていた。
群れの数はもう残すところ10匹に満たず、そのどれもが満足な獲物をとれずやせ細り、疲労の色も濃い。
森の奥、大森林と呼ばれている所からやってきたとある捕食者に怯えながらも、懸命にここまで食いつないできたがそれもそろそろ限界であろうことを本能的に悟っていた。
一か八かの掛けに出るほか道はない
人の住む村を突っ切り奥の大森林へと出られねば、このまま奴らに追い込まれ、全員が腹の中に収まる事になる。
本来ならば、あのような輩は人間共によって早期に排除されるはずなのだが、どういう訳か最近は人間の群れの活動が著しく低くなっており、奴らは我が物顔で近辺を荒らし回っている。
流石に人間の事に関しては警戒しているのか、人間が固まっている所には近寄らず我々の様な物ばかり狙ってくる。
強者に弱者が食われるのは当然であり、仕方のない事だ。しかし、このまま全滅するまで手をこまねいている訳には行かない。
故に考え出したのが逃げの一手の決断だ。
奴らは今子育て中であり、動きが鈍い、もし子供が育ち再び活発化したのなら、人間の群れもただでは済まないであろう。逃げるのは今しかないのだ、夜中、闇に紛れ、人の群れを突破する。
その時に人間と一緒にいる獲物も少し取れれば御の字であろう。
改めて決意を固め、その日は目を閉じ眠りに就く。
全く・・・群れの長になれたってのに・・・不甲斐ない・・・。
こういう時前の長ならどうしたのだろうか・・・。
深い眠りに落ちる瞬間・・・ふと瞼の裏に旧き長の姿が見えたような気がした。




