逃走と別れと出会い
(ポチ・・・ポチ・・駄目だ・・・死なないでくれ。)
重症を負ったポチの身体を必死に動かし、何とかハンター達から距離をとる。触手を使い、木の上を通ったりしているため、多少の時間稼ぎ位にはなるだろう。逃げつつも体の修復をかけようとするが、理由は分からないが、糸がほつれてしまい上手く行かない。
(血が・・・命が・・・零れていく。)
冷たいようだが、俺はポチに対して随分と特別扱いしてきた、それは元人間らしい理不尽さから来る物なのか、単に手塩にかけてここまで成長させた思い入れから来る物なのか、ネズミ達には申し訳ないが、今更ポチを失う事に対して、俺は酷く狼狽えていた。こうなる事は覚悟していた筈なのだが、実際にその時を迎えてみるとなんと情けない事か。
どれほど逃げていただろうか。ふと、ポチが弱々しくも反応を見せた。直ぐに動きを停めて様子を伺うと、どうやらとある方向に対して興味を持っている様子で、そちらに行きたがり始めたので、素直に希望に沿い進路を変える。
果たしてそこには一つの小さな影が落ちていた。
(人間?)
2桁もいっていないような年齢の小さな女の子がそこに倒れている。
見て分かるのは、推定の年齢とふっくらとした成長途中の肢体、金髪のショートヘアーである事、将来美人さんになりそうな事くらいである。
(何故こんな所に?)
ここは森の中でも奥まった場所で、今は夜だ。
(ゴブリンにでも攫われたのか?)
疑問に思っている間に、ポチは自らの力で女の子に近寄っていた。確かにこの子を食べれば大幅な体力の回復を見込めるだろう。背に腹は代えられぬと覚悟を決めたが、ポチが子供を食べる事はなかった。ポチは女の子の頬を一度舐めると横に伏せの体制になった。
ここで、ポチの言いたい事が、やっと理解できた。(乗り換えてくれ)
何故、自ら生き延びようとしないのか
何故、宿敵とも言える人間の子供なのか
そもそも一緒に死ぬ事すら考えていたので、混乱してしまう。
しかし、これがポチの遺志だというのならば、俺はそれに沿わねばならない。
彼の目から抜け出し、自切りをせずに女の子の耳に向かう。昔によく馴染んだ形、人の耳だ。成長した体には少し狭く、脳に向かうには不適に思えたので、対象を鼻の穴へと変更しなんとか侵入。あとはハンターと同じ手順で寄生に成功する。
まず何故倒れているのか、それを確認する必要があった。要因は血液不足のようだ、背中に大きな裂傷があったので、切りつけられでもしたのだろうか。それにしても、この状態で生きているとは奇跡としか言い様がない。
だが、このままでは、この女の子も時を置かずして死んでしまう。俺の栄養にもなる血がない状態ではどうしようもなく手詰まりだ。途方にくれていたところで、そこに救いの手が添えられた。ポチの残りの触手だ。
ポチは力を振り絞るように立ち上がると女の子を抱え上げ、近くの茂みに隠し自らの触手で包み込み、触手を喰いちぎったあと、少し距離を置いたところに倒れ込んだ。
(なるほど、これを使えば。)
もとより使い慣れている物、それを再利用し傷を塞ぐ事は可能だろう。残りの分はやった事が無いが血液の代用に回せるようにしなければならない、それができなければ、この子は助からないだろう。俺も一緒に果てるだけになるかもしれない。
ブクマ 感想 評価 有難うございます。
毎日ドキドキしながら小説情報を開いております。
最近更新をサボってすいません。
小説に関しては仕事の空き時間に内容をメモに書き綴ってますので、仕事が続く限り更新は止まらない・・・筈。
二度手間だったり、後で内容を変更して折角書いたメモのネタがぽしゃったり、なにこれ?え?え?すごい、これって文字?(゜o゜;;みたいな問題が発生してますが、ボチボチとやっていきます。
問題はノクターンのネタをどこで書くかなんですよね、電車で書く勇気出ないし、職場でメモに書いて万が一他の職員に見られたらと思うと・・・。
あっあと最近、信号機の上で盛ってるスズメを見て脳内アフレコして楽しんでました。
公衆の面前で行為に及ぶとか・・・小鳥も上級なプレイを嗜む世界になったんですねえ。




