逆転の一手
「グスタフさん」
もう駄目か、そう諦め撤退を指示しようかと思ったその時。一人の大柄なハンターが、意を決したかのように話しかけてきた。
「俺に考えがある。必ず隙を作るから、後を頼む。」
何か秘策があるのだろうか?しかし、こちらに何か良い作戦があるわけでもない
「わかった。やってみてくれ、隙ができたのならば、必ず俺が仕留めてみせる。」
了承すると、彼は剣を捨てて一人前に進み俺たちから距離を取った。
そんなに前に出たら真っ先に奴に襲われる・・・そう叫びたかったが、それこそが狙いなのだろう。
果たして目論見通りというか、あの化物がそんな獲物を見逃す筈も無く、するりと彼の首に触手が巻き付いた。
彼は巻き付く触手を迎え入れると「ここだあああああああ!!!!」と叫んで引っ張った。
「キャン!」
甲高い悲鳴が聞こえ、俺たちの前にやつが姿を現した。
(首を引っ張る瞬間、少し無防備になるのか)
恐らく自らを重りにしていのであろう。木から飛び降り衝撃で敵を倒す、それを看破した彼はその体格を活かし大きな川魚を釣り上げるように、化物を暗闇から引っ張り出した。
「おおおおらああああ!」
引っ張り出した勢いをそのまま、俺のすぐそばに化物が落ちてくる。突然の事だったので、やつはあの奇妙な移動もできぬまま地面に叩きつけられる。
即座に駆け寄り、立ち上がろうとする化物を袈裟斬りで斬りかかった。
「ぐうっ!」
しかし、やつの微細な毛が剣の芯をずらそうとして、刃先が滑りそうになった。
「こなくそおおおおおおおおお!!!」
気合で足を踏み直し、無理やり剣の軌道を修正横薙に振り払った。
バチン!という音と足に広がる激痛、「ギャン!」という短い断末魔、を残し奴はふきとび草むらに落ちていく。
「やった・・・・のか・・・?」
他のハンター達が急いで草むらに確認しに向かう。
「なっ!?」
「嘘だろ・・・まだ動けんのかよ・・・」
そこに奴は居なかった。が、血の跡が点々と地面と木の上等に続いている。どうやら致命傷は与えられたようだ。時間はかかってしまうが、追跡は可能だろう。足の筋を切ってしまった為、俺はここまでのようだが、あとは他のハンターに任せても大丈夫だ。
指揮はあの見事な一本釣りを見せてくれたタンクへと引き継ぎ、俺は後方の野営地に戻ることにした。
(今日は眠れないな・・・。)
あの化物が夢にまで出てきそうで、代わりにあのメンバーを尋問する事で気を紛らわせようと心に決めたのだった。




