出発
2日後
朝日が昇り始め、暮れ時のように周囲を赤く染める頃合い。
100人に登るハンターがハイネ村のギルドに集まった。
周囲では顔見知りもいるようで、久々の再開を喜ぶものや、今回の招集について意見・情報の交換をしているもの、武器の点検をしているもの等、それぞれが思うように動いていた。
「久々の招集だなあ、前回はバルネでキマイラが出た時だったっけ?今回はどんなのが出たんだ?」
「なんでも熊くらいの大きさのウルフで、触手が生えてるらしいよ?」
「まじかよ気色悪い。ちなみに触手って何本?」
「わからないくらいだって。」
「・・・それ本当にウルフ?」
100人が集まり殆どが喋っていれば、相応に騒がしくなる。そんな中、グスタフが現れ、周囲のハンターに呼びかけはじめた。
途端、水を打ったように喧噪が収まり、皆がグスタフに注目する。
「よく集まってくれた!今回呼んだ理由は突然変異によって生まれた魔物の退治と、ゴブリンの間引きだ。」
後半の付け足しに複数のハンターが含み笑いを漏らす。
「聞いているものが殆どだろうが、突然変異の魔物はウルフの形をしているそうだ、体に触手が生えててそれで移動・攻撃してくるらしいから気を付けてくれ。弱点は風属性の魔法らしい。キャスターを中心に各自動くように、風属性を使えないキャスターは補助に回って風属性以外に弱点が無いか探ってくれ。
まあ、やることはいつもと対して変わらん。好きにやってくれ。」
肩をすくめながらグスタフが言うと、先ほどより多くの笑いが上がった。とてもこれから戦いに赴く雰囲気に思えないが、これでよいのだ。下手に緊張させると体力を無駄に消耗させるし、なにより思うように動けなくなる。グスタフ自身もハンターゆえにそのことは重々承知していた。
「それじゃあ!山狩りだ!出るぞ!」
「「「「おう!」」」」
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「出たな」
「おお、出た、頭に報告に行くぞ」
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