第3勢力と企み
「なに?村からハンターが出てる?」
「ヘイどうやら、ハイネ村の方に集まっているそうでして。」
ならずもの集団、いうなれば盗賊の頭であるバレンは部下からの報告を受けて口角を上げる。
国のはずれで豊かな村があると聞いて一働きしようと訪れ、拠点を作ってみたは良い物の、蓋をあければ辺りはハンターだらけで思うように身動きが取れず、うだつのあがらない日々を過ごしていた彼にとって、まさに朗報というのにほかならない。
やっとこの束縛された日々から抜け出せるという喜びと共に、ここに来た経緯を思い出し、怒りが込み上げてくる。
(やっと・・・やっとここから抜け出せる!クソッタレの情報屋が!何が「その村は自警団もいないらしい」だ。ああ、確かに自警団はいないさ、自警団よりやばい奴らがうようよいるがな!)
とある情報屋の事を思い出しわなわなとふるえる。手に持った木製のコップが音を立てて中に入っていたものと一緒に地面に落ちる。
ハンターは実に厄介だ、野生の生き物相手に動くので勘が良く、役割を決めてメンバーを組むため仲間意識も強い、おまけにギルドなんてものも作っているので情報の共有も密にされており、下手に手を出せば逆にこちらが潰されてしまう。
まあ、1度だけ襲いかかって遠くに逃げる分には問題無い。それこそ、そこまで遠くの範囲をカバーできる程盗賊や山賊の類は少なくない。
「ハイネ村でなんかあったのか?にしてもこりゃツいてるな。ここらの旨みもそう無いし、いっちょ一暴れして場所うつすか。」
「よっしゃあ!」
「久々の仕事だあああ!」
待っていましたと言わんばかりに次々と喜びの雄叫びが聞こえてくる。
ハンターが居なくなれば村の防備は手薄になる。多少無茶を承知で略奪を行うしかない。もう狩人生活はうんざりである。持ってきた奴隷もそろそろ使い潰してしまうだろうし、部下の不満も目に見えて溜まってきている。
「確実にやるにゃあどっちか1つだろうなあ。まあやることはいつもと変わんねえ、奪い、犯し、殺すだけだ。
野郎ども!さっさと用意しやがれ!。
おい、お前はハイネ村で奴らの動きを監視しとけ、奴らが動き出したら一気に動くぞ。」
「へい、でもいいんですか?
そうすると出だしが遅くなりますぜ?」
「奴らが集まってるってことは大物退治だろうさ、だったら森の中に行くはずだから、それくらいが丁度いいんだよ。」
「わかりやした。」
お互いにあくどい笑みを浮かべ、新しい器に酒を用意して飲み交わした。