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そんな日の夜だった。
「おーい、おーい。」
居間のほうからじいじの声がした。
私は何かあったのかと居間に向かった。
「じいじ?どうしたの?」
「あぁ、ばあさんはどこに行ったかね?」
「え…?」
私ははじめ、冗談を言っているのかと思った。
「ばあさんってばあばのことだよね?」
私の問にじいじは不思議な顔をする。
その表情からじいじは冗談を言っているわけではないと悟った。
「ばあばは先月亡くなったんだよ…?じいじもお葬式でたよね?」
一瞬、じいじの目が大きく見開かれた。
そしていつものじいじの雰囲気に戻った。
「…あぁ。そうだったな。なにをいっとるんだろうな。」
そういって自分の寝室に戻って言った。
これがじいじの最初の異変だった。