3/16
1
じいじが死んだ。
私が小学校に入ったばかりのときに父と母が事故で亡くなり、
残された私と兄を引き取って
今日までずっとずっと育ててきてくれたじいじが。
兄は昨日で涙が枯れ果てたのか、
親戚一同に情けない姿を見せられないためか、葬儀の最中は一度も涙を流さなかった。
私もまた、泣かなかった。
いや、泣けなかった。
親戚一同との葬儀に違和感をおぼえたからだ。
もともと私と兄はほかの親戚とあまり関わりが無かった。
じいじも同じだった。
そんな私たちとじいじの最後の別れの時間をあまり関わりのない人たちと共有するのはいくらか心苦しかった。
どこかで血が繋がってしまっているため、仕方なく参列したといっても過言ではない親戚たちと
10年もじいじと同じ家で過ごした私たちとでは想いが違いすぎたのだ。