1/16
---------------------------------------------
暗闇の中、
山道を走って、走って、走った。
半泣きになりながら、枝を踏み折り
時々正面から飛んでくる虫も気にせず、
前に、前に。
やっと見つけた。
大きな木の下に座るその人を。
---------------------------------------------
「お前は…覚えとらんのか。」
あの日じいじは寂しそうな顔をして、
どこか遠くを見つめていた。
じいじとした約束を
私は思い出せなかった。