表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメ魔術師の優しい魔法  作者: 辻流太
32/47

見つめる先

「えっ?」

 草加が用意したウエディングドレスに身を包み、儀式終了の時間が来るのをただ待っていた天音だったが、建物が大きく揺れ獣のような咆哮が聞こえた時、天音の脳裏に一人の人物が浮かんでいた。

 霧島葉月。

 彼が九法の儀式に関われる訳がないのは分かっていた。

 それでも、彼なら来てくれるのではないかと期待してしまった。

 絶対に違う。

 そう思っているのに、確認してしまった。

 クリムゾンウェディング。葉月にかけた呪い。視覚共有呪術。お互いのどちらかが拒否しない限り解ける事のない呪術。

 呪いが解けていなかったのが分かった時、天音は嬉しかった。

 あんな別れ方をしたのに、葉月は天音を拒絶していという事実が

 しかし、目の前の状況を天音は純粋に喜ぶ事が出来なかった。葉月が立っているのは、このホテルの結婚式場。そして葉月の目の前には、殺意に満ちた人狼の爪が迫っているのだ。

「どうして……」

 このままでは葉月が死んでしまう。

 白亜の大聖堂で葉月の命が終わる。

 どうしてこんなことになっているのか……

 理由など決まっている。

 私のせいだ……

 私なんかの為に……

 葉月さんが死ぬ……

 そんなの嫌だ。

 それだけは耐えられない。

「……っ!」

 天音は無我夢中で走り出していた。

 ドアを蹴り開け、式場までの廊下を駆け出す。

 邪魔なウェディングドレスのスカートを裂く。

 すぐ目の前に純白の扉が見えた。

 重い扉を押し開ける。

 その先には、信じられない光景が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ