準備
時刻は午後七時を回った所だった。
あれから葉月は七海に草加の居場所を調べてもらった。居場所を見つけるのにはそれ程時間はかからなかったが、葉月がリリーに頼んだ書類が遅くなったのだ。
「これでも急ぎで頑張ったんだぜ」
「えぇ、ありがとうございます」
重要な書類なので、リリーでも揃えるのは難しかったようだ。
「これで、準備出来たわけね。言っておくけど、ウチは何も出来ないわよ」
「されても困りますわ。お嬢様」
七海の横に立つおっとり系のメイドさんが苦笑いしながら答える。
「ちなみに、ボクも何も出来ないぜ。協会が手を出したら怒られるどころじゃすまないからね」
リリーが親指を立ててウィンクする。
「大丈夫だ。ここからは俺がやらないと意味がないから」
「これ以上、悪くなる事なんてないんだから任せるわよ」
七海が葉月の肩を叩く。
「いや~、それにしても楽しみだよ。ツッキーがここまでやる気になってくれたなんて、ボクは嬉しいぜ」
「それだと、普段の俺がやる気ないみたいですが?」
「やる気と言うか、向上心?」
首を傾げるリリー
「うるせぇ」
「皆様、そろそろ出発いたしますわ。車にお乗りくださいませ」
四人が乗り込んだ車が、目的地に向かってゆっくりと走り出す。




