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花香るは勿忘草か鈴蘭か  作者: 華子
プロローグ
2/51




民は富、国は栄え、王都には花が咲き乱れる。

ここは私の誇る愛しき国、クルス。

大陸の南に位置したこの国は広大な領土を誇り、作物が一年中実り、温かい。

人も皆優しく、幸福な笑顔がそこかしこに愛が溢れてる。




私はこの素晴らしい国の第一王女、クロエ・アリンソン・クルス。

第一王女、って言っても一番末っ子だけど。

家族は、お兄様が5人。

お母様が5人。

お父様が1人。

一夫多妻制ってやつね。




でも、だからって別に陰謀が渦巻くとか、兄弟仲が険悪とか、王位争いとか、そんなのがあるわけじゃない。

だってみんなとても仲が良いのだもの!

まぁ……、国を守り導いていく以上、他国に侵略は否応なしにしたりするみたいだけど、政治とか、王位継承権を持たない私にはあんまり関係ないかなぁと思う。




私は、みんなが、家族が、国民が、幸せならば、それで良かった。

それで、良かったのに…。




「お、にぃ…さ、ま…」




目の前には真っ白な顔で横たわるお兄様。

お母様が同じの、エヴァンお兄様。




お父様に、北の国の王女様をお妃様にしなさいって言われて、「ちょっくらどんな子か見て来る」って、そう言って笑顔で出かけて行ったお兄様。




無言の帰国なんて、あり得なかった。

信じられなかった。




「ー我が国の王女は、………そうして……、であると……エヴァン王子には……、……国を上げ……敬意を払い……」




…………。

意識の遠くで、お兄様を届けてくれた使者の方が何かを言っている。

でも、全然頭に入ってこない。

分からない。

何が、起きたのか。




そう、当時まだ幼かった私には、何が起きたのか分からなかった。




だから、真実を知りたくて、私はかの国へと足を踏み入れた。




みんなで、幸せな暮らしがしたかった。

愛と優しさに溢れたあの日々を過ごしたかった。

壊れた真実を、知りたかった。





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